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Windowsプラットフォーム向けHotFix情報サービス
HotFix Alert:
2004/12/16日版
 
【登録日】2004/12/15
【更新日】2004/12/16
詳細
HFR BBS会議室
 
深刻度
  1(緊急)
2(重要)
  3(警告)
  4(注意)
攻撃コードの有無
あり
対策
早期適用
再起動の必要性
必要(サービスが停止できた場合、ファイルが使用されていない場合は不要)
アンインストール
対象環境
サーバ
  クライアント
セキュリティ情報
MS04-045(日本)
MS04-045(US)
サポート技術情報
よく寄せられる質問
セキュリティ情報
fq04-045
含まれる過去の修正
脆弱性識別番号
MS04-045/870763
WINSにおけるコンピュータ名の検証処理の脆弱性などにより、リモートでコードが実行される危険性
(WINS の脆弱性により、リモートでコードが実行される)

緊急対応度:適用作業の早期開始

危険性 脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。
                 
SP待ち
 
早期適用
 
緊急適用

 Windows OSのNetBIOS名(コンピュータ名やユーザー名など)とIPアドレスを対応させるためのサービスであるWindowsインターネット・ネーム・サービス(WINS)に、「コンピュータ名の検証処理」と「アソシエーション・コンテキスト」に脆弱性が存在し、サービス拒否やリモートでコードが実行される危険性がある。最悪の場合、プログラムのインストール、データの表示/変更/削除、完全な特権を持つ新しいアカウントの作成など、攻撃者によってコンピュータの制御が完全に奪われてしまう。

 MS04-045の脆弱性は、WINSサーバとして構成されているWindows OSのみが影響を受ける(Windows 2000 ProfessionalやWindows XPはWINSサーバとして構成できないため影響を受けない)。WINSサーバ機能は、Windows NT Server/2000 Server/Server 2003に実装されているが、デフォルトでは無効になっている。ただし、ドメイン・コントローラなどでは、WINSを有効にしているケースも多いと思われる。またWindowsサーバを含むサーバ・スイート製品のSmall Business Server 2000/2003(SBS 2000/2003)では、デフォルトでWINSが有効化される。この場合でも、外部ネットワークからはWINSサービスにはアクセスできないようになっているが、万一アクセスが可能だと、リモートで任意のコードが実行される危険がある。

 現時点では、この脆弱性を悪用した攻撃は確認されていないとされている。ただし詳細な報告が行われてから時間が経過していることから、この脆弱性を悪用したウイルスなどが登場することも懸念される。WINSサーバを運用している場合は、なるべく早く修正プログラムの適用を行っていただきたい。

 

概要

 WINSとは、NetBIOS名とIPアドレスを対応させるためのサービスである。Windows 9xやWindows NT/2000で実装されているネットワーク・サービスでは、NetBIOSインターフェイスを使って各種のサービスを実現している。このとき、コンピュータ名やユーザー名、サービス名などには、NetBIOS名と呼ばれる16bytesの文字列が割り当てられ、お互いのマシン名やサービスを区別する。TCP/IPプロトコルとNetBIOSインターフェイスを組み合わせたNBT(NetBIOS over TCP/IP)環境では、NetBIOS名とIPアドレスを何らかの方法で対応させる必要があるが、このために使用されるのがWINSというサービスである。WINSによる名前解決を行うWINSサーバは、Windows NT Server/2000 Server/Server 2003に標準で実装されている。

 MS04-045の修正プログラムでは、WINSに関する「コンピュータ名の検証処理」と「アソシエーション・コンテキスト」の2つの脆弱性を解消する。

■コンピュータ名の検証処理の脆弱性
 パケットに含まれるデータの値をWINSが検証する処理方法に未チェック・バッファが存在する。WINSサーバが特別な細工をしたネットワーク・メッセージを受信すると、バッファ・オーバーフローが発生し、任意のコードが実行される危険性がある。

■アソシエーション・コンテキストの脆弱性
 アソシエーション・コンテキストとは、WINSがWINSの複製パートナーに関する接続情報を保存するためのデータ構造である。WINSでは、複数のサーバ間でNetBIOS名とIPアドレスの対応情報を共有することで、ネットワークの負荷を分散させることを可能にしている。この際、レプリケーション・プロトコル(複製プロトコル)と呼ばれるプロトコルが利用され、アソシエーション・コンテキストもやり取りされる。WINSサーバが、特別に細工されたパケットと無効なアソシエーション・コンテキストのデータを受信すると、バッファ・オーバーフローが発生し、任意のコードが実行される危険性がある。

 この脆弱性については、すでにセキュリティ・ソフトウェア・ベンダのImmunityが11月26日に詳細をレポートしている。Immunityのレポートについては、2004年12月8日付け配信のHotFix Weeklyで報告済みなので、こちらを参照していただきたい。

・HotFix Weekly 2004/12/08日付け(WINSサーバにバッファ・オーバーフローの脆弱性が存在し、任意のコードが実行される危険性):
http://www.hotfix.jp/archives/alert/2004/news04-1208.html#01

 

 どちらの脆弱性も、ファイアウォールなどでTCP/UDPポート42番の受信をブロックしていない場合、インターネットからリモートで攻撃を受ける危険性があるものだ。またウイルスやワームなどに悪用された場合、イントラネット内から攻撃される可能性も懸念される。WINSを利用している場合は、攻撃が開始される前に修正プログラムの適用を完了しておきたい。

 

対象プラットフォーム

影響を受けるソフトウェア 対象プラットフォーム
Windows NT Server 4.0 Windows NT Server 4.0 SP6a
Windows NT Server 4.0 Terminal Server Edition Windows NT Server 4.0 Terminal Server Edition, SP6
Windows 2000 Server Windows 2000 Server SP3/SP4
Windows Server 2003 Windows Server 2003
 
‥‥‥ DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント ‥‥‥

■適用テストの結果
 DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。

プラットフォーム
適用テスト結果
Windows NT Server 4.0 SP6a
Windows NT Server 4.0, Enterprise Edition SP6a
Windows 2000 Server SP3
Windows 2000 Server SP4
Windows 2000 Advanced Server SP3
Windows 2000 Advanced Server SP4
Windows Server 2003, Standard Edition
Windows Server 2003, Enterprise Edition

■Windows Server 2003はサービス拒否が起きる可能性が高い
 MS04-045の脆弱性は、どちらもリモートでコードが実行される危険性のあるものだ。ただしマイクロソフトによれば、Windows Server 2003では、不正なパケットによるサービス拒否が起きる可能性が高いとしている。WINSが異常終了した場合、Windows Server 2003では自動的にWINSのサービスを再起動する。ただし自動再起動は3回までで、4回目に異常終了すると手動で再起動しないとWINSのサービスは復帰しなくなる。これにより、WINSに対するすべてのリクエストが応答しなくなる。なお手動で再起動を行えば、WINSは復帰するが、脆弱性が残ったままの場合、再び攻撃によってサービス拒否が起きる危険性がある。

■WINSサーバを再インストールしたら修正プログラムの再適用も必要
 MS04-045の修正プログラムを適用した後で、WINSサーバをインストールし直した場合は、再度MS04-045の修正プログラムも適用すべきである。これはWINSサーバをインストールする際、WINSサーバ関連の.DLLファイルや.EXEファイルが古いバージョン(通常は適用済みのサービスパックのレベル)に置き換わってしまい、脆弱性が復活してしまうことがあるためだ。特に、修正プログラムの適用/未適用をレジストリだけで確認する管理ツールを使用している場合、WINSサーバの再インストールによる古いバージョンのファイルの上書きを検出できない可能性があるため、注意が必要である。

■MBSA 1.21の結果
 MS04-045の修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 1.21で確認可能だ。未適用の場合は、「Windowsのセキュリティの更新」の「結果の詳細情報」に、「WINS の脆弱性により、リモートでコードが実行される (870763)」が表示される。

 
‥‥‥ 修正プログラムのダウンロード先 ‥‥‥
プラットフォーム ダウンロード・センター Windows Update/Office Update/SUSの表示
Windows NT Server 4.0 SP6a Windows NT 用セキュリティ更新プログラム (KB870763)
Windows NT Server 4.0 Terminal Server Edition, SP6
Windows 2000 Server SP3/SP4 Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB870763)
Windows Server 2003 Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB870763)
 
‥‥‥ 適用されるファイル情報 ‥‥‥
 以下のファイルにパッチが適用される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
 
Windows NT Server 4.0 SP6a:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
WindowsNT4Server-KB870763-x86-JPN.exe 2004/12/02 5.4.15.0
173,296
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %SystemRoot%\system32\
wins.exe 2004/12/01 4.0.1381.7332
207,600
WINS SERVER
   
Windows NT Server 4.0 Terminal Server Edition, SP6:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
WindowsNT4TerminalServer-KB870763-x86-JPN.exe 2004/12/02 5.4.15.0
173,424
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %SystemRoot%\system32\
wins.exe 2004/12/02 4.0.1381.39817
207,600
WINS SERVER
 
Windows 2000 Server SP3/SP4:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
Windows2000-KB870763-x86-JPN.EXE 2004/12/02 1.0.0.0
401,912
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %SystemRoot%\system32\
wins.exe 2004/12/02 5.0.2195.7005
146,192
WINS SERVER
 
Windows Server 2003:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
WindowsServer2003-KB870763-x86-jpn.exe 2004/12/02 1.0.0.0
405,232
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ
(RTMGDR)
%SystemRoot%\system32\
wins.exe 2004/12/02 5.2.3790.239
144,896
WINS SERVER
展開フォルダ
(RTMQFE)
%SystemRoot%\system32\
wins.exe 2004/12/02 5.2.3790.239
145,408
WINS SERVER
 
‥‥‥ 確認方法 ‥‥‥

 修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、以下のレジストリ・キーにある値を調べることで確認できる。

・Windows NT Server 4.0 SP6a/Terminal Server Edition SP6:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Hotfix\KB870763\Installedのデータが1であること

・Windows 2000 SP3/SP4:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows 2000\SP5\KB870763\Filelist以下のファイル一覧を確認する

・Windows Server 2003:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows Server 2003\SP1\KB870763\Filelist以下のファイル一覧を確認する

 

予想適用時間

修正プログラム名 50台 100台 250台 500台
WindowsNT4Server-KB870763-x86-JPN.exe
(Windows NT Server 4.0 SP6a)
24分 33分 58分 1時間40分
Windows2000-KB870763-x86-JPN.EXE
(Windows 2000 SP3/SP4)
24分 33分 58分 1時間40分
WindowsServer2003-KB870763-x86-jpn.exe
(Windows Server 2003)
24分 33分 58分 1時間40分
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。
 

UpdateEXPERT上の表示

・Windows NT Server 4.0 SP6a:
UpdateEXPERT 5.1:[展開ビュー]−[IIS]タブに「名前:NT4SVR-KB870763-x86-JPN.exe」で登録
UpdateEXPERT 6.1:[展開ビュー]−[IIS]タブに「名前:WindowsServer2003-KB870763-x86-jpn.exe」で登録

・Windows NT Server 4.0 Terminal Server Edition SP6:
UpdateEXPERT 5.1/6.1:サポート対象外

・Windows 2000 Server SP3/SP4:
[展開ビュー]−[IIS]タブに「名前:Windows2000-KB870763-x86-JPN.EXE」で登録

・Windows Server 2003:
UpdateEXPERT 5.1:サポート対象外
UpdateEXPERT 6.1:[展開ビュー]−[IIS]タブに「名前:WindowsServer2003-KB870763-x86-jpn.exe」で登録

 

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