このページは、HotFix Reportで配信されたセキュリティ情報のバックナンバーです。「更新日」に明記された時点での情報ですのでご注意ください。ご購読の申し込みは「HotFix Report購読の申し込み」 をご参照ください。

トップページ サービスの詳細 セキュリティ情報 購読の申し込み
 
 
Windowsプラットフォーム向けHotFix情報サービス
HotFix Alert:
2006
/07/13版
 
【登録日】2006/07/12
【更新日】2006/07/13
HFR BBS会議室
 
深刻度
1(緊急)
  2(重要)
  3(警告)
  4(注意)
攻撃コードの有無
あり
対策
至急適用
再起動の必要性
不要(必要な場合あり)
アンインストール
可能(Excel 2000は不可)
対象環境
サーバ
クライアント
セキュリティ情報
MS06-037(日本)
MS06-037(US)
サポート技術情報
含まれる過去の修正
脆弱性識別番号
MS06-037/917285
Excelのレコード処理の脆弱性などにより、リモートで任意のコードが実行される危険性
(Microsoft Excel の脆弱性により、リモートでコードが実行される)


対応の緊急性:至急適用 [攻撃コード公開済み][攻撃事例あり]

危険性
                 
SP待ち
 
早期適用
 
緊急適用
脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。

可能性のある攻撃
攻撃手法
脆弱性の影響
リモート攻撃 ウイルス/ワーム 電子メール添付 Webサイトへの誘導 コードの実行 権限の昇格 情報の漏えい サービス拒否 なりすまし
 
       
 
‥‥‥ 概要 ‥‥‥

 Excelの複数のレコード処理にメモリ破損の脆弱性が存在し、リモートで任意のコードが実行される危険性がある。今回の脆弱性については、すでに特定の組織を狙って、添付された細工済みの文書ファイルを送信元や件名を偽装した電子メールを送信し、受信者に開かせるよう仕向けるという攻撃に悪用されたことが報告されている。この脆弱性は、主に細工したExcelファイルを添付した電子メールで攻撃に悪用されることが多いと思われる。

 また、Webページ上の細工したExcelファイルへのリンクをクリックするように誘導することで攻撃が実行される危険性もある。Internet Explorer(IE)は、Office文書をインライン(IEのウィンドウ内部)で開くため、Officeを明示的に使っていなくても、IEによるWebページのブラジング作業中に攻撃が実行される可能性もあるので注意が必要だ。この際Excel 2000では、ダイアログなどが表示されず、ユーザーの操作なしに起動してしまうので、特に危険性が高い(Excel 2002/2003は、ダイアログが表示される)。なお攻撃は、Excelのファイルだけでなく、WordやPowerPointなどのOffice文書にExcelのシートが埋め込まれて実行されることもあるので、そのほかのOffice文書形式についても注意が必要だ。

 MS06-037の脆弱性は、すでに悪用された攻撃が実行されていることから、至急、修正プログラムを適用した方がよい。

 
脆弱性の内容

 MS06-037の修正プログラムは、以下の8件の脆弱性を解消する。

  • 不正な形式のSELECTIONレコードの脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-1301)
  • 不正な形式のSELECTIONレコードの脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-1302)
  • 不正な形式のCOLINFOレコードの脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-1304)
  • 不正な形式のOBJECTレコードの脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-1306)
  • 不正な形式のFNGROUPCOUNT値の脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-1308)
  • 不正な形式のLABELレコードの脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-1309)
  • 不正な形式のファイルの脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-2388)
  • 不正な形式のファイルの脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-3059)

 このうち、「不正な形式のSELECTIONレコードの脆弱性(CVE-2006-1301)」と「不正な形式のファイルの脆弱性(CVE-2006-3059)」は、すでに攻撃に悪用されたことが報告されている。

 今回、解消する8件の脆弱性のうち、5件がレコードの処理においてメモリ破損が起きるものである。具体的には、SELECTIONレコード(2種類)、COLINFOレコード、OBJECTレコード、LABELレコードの各レコード処理に脆弱性が存在する。細工された各レコード処理が設定されたExcelファイルを開くと、メモリ破損が起き、任意のコードが実行されてしまうというものだ。

 また「不正な形式のFNGROUPCOUNT値の脆弱性(CVE-2006-1308)」は、組込み関数のグループ数を保持しておくFNGROUPCOUNT値の処理にメモリ破損の脆弱性が存在する。細工されたFNGROUPCOUNT値が設定されたExcelファイルを開くと、メモリ破損が起こり、任意のコードが実行さる危険がある。

 残りの「不正な形式のファイルの脆弱性(CVE-2006-2388/CVE-2006-3059)」は、細工されたセル・コメントなどによってメモリ破損が起きることに起因する。やはり任意のコードが実行される危険性がある。

 すべての脆弱性において、Excel 2000で「緊急」、Excel 2002/2003で「重要」という深刻度が割り当てられている。これは前述のように、Webページ上で細工したExcelファイルへのリンクをクリックすると、Excel 2000ではユーザーの操作なしにExcelが起動してしまい、攻撃を受ける危険性があるためだ。特にExcel 2000を利用している場合には、注意が必要である。

英語版のTechNetセキュリティ情報では、「Microsoft Excel Rebuilding Vulnerability(Microsoft Excelの修復の脆弱性)」となっている。

 
対象プラットフォーム

影響を受けるソフトウェア 対象プラットフォーム
Excel 2000 Office 2000 SP3
Excel 2002 Office XP SP3
Excel 2003 Office 2003 SP1/SP2
Excel Viewer 2003 Excel Viewer 2003
 
‥‥‥ DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント ‥‥‥

■適用テストの結果
 DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。

プラットフォーム
適用テスト結果
Windows 2000 Professional SP4+Office 2000 Professional SP3
Windows 2000 Professional SP4+Office XP Personal SP3
Windows 2000 Professional SP4+Office Personal 2003 Preinstall SP1
Windows 2000 Server SP4+Office 2000 Standard SP3
Windows 2000 Server SP4+Office XP Professional SP3
Windows 2000 Server SP4+Office Professional 2003 SP2
Windows XP Professional SP1a+Office XP Standard Enterprise SP3
Windows XP Professional SP1a+Office Personal 2003 SP2
Windows XP Professional SP2+Office 2000 Personal SP3
Windows XP Professional SP2+Office XP Standard SP3
Windows XP Professional SP2+Office Standard 2003 Enterprise SP1
Windows Server 2003, Standard SP未適用+Office XP Pro with FrontPage SP3
Windows Server 2003, Standard SP1+Office 2000 Premium SP3
Windows Server 2003, Standard SP1+Office Standard 2003 SP2
Windows Server 2003, Enterprise SP未適用+Office Professional 2003 Enterprise SP1
Windows Server 2003, Enterprise SP1+Office XP Professional Enterprise SP3

■MBSA 2.0の結果
 MS06-037のExcel 2002/2003、Excel Viewer 2003向け修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.0で確認可能である。未適用の場合は、「Officeのセキュリティの更新プログラム」の「結果の詳細情報」に以下のいずれかが表示される。Excel 2000は、MSBA 2.0でサポートされておらず、適用状態の確認はできない。

  • Excel 2002 セキュリティ更新プログラム: KB918420
  • Excel 2003 セキュリティ更新プログラム: KB918419
  • Excel Viewer 2003 セキュリティ更新プログラム: KB918425
 
適用時の注意点

■「Excelのスタイル処理にバッファ・オーバーフローの脆弱性」は未解消
 Excelには、2006/07/12日付けHotFix Weeklyで報告済みの「スタイル処理のバッファ・オーバーフローの脆弱性」が存在する。DA LabでMS06-037の修正プログラムを適用したExcel 2000/2003に、この脆弱性に対する実証コードを実行したところ、Excelが異常終了し、脆弱性が依然として存在することが明らかになった。すでに実証コードが公開されていることから、危険性は高まっている。Excelについては、MS06-037の修正プログラムの適用後も引き続き注意した方がよい。

・HotFix Weekly 2006/07/12日付け(Excelのスタイル処理にバッファ・オーバーフローの脆弱性):
http://www.hotfix.jp/archives/alert/2006/news06-0712.html#01

■Excel 2000向けはOffice Updateで提供
 MS06-037のExcel 2000向けの修正プログラムは、ダウンロード・センターとOffice Updateで提供されている。Microsoft UpdateやWSUSはOffice 2000に対応していないため、MS06-037のExcel 2000向けの修正プログラムはこれらでは表示されないので注意が必要だ(自動更新でも適用されない)。ダウンロード・センターで修正プログラムを入手して手動で適用を行うか、Office Updateを実行する必要がある。

 一方Excel 2002/2003向けの修正プログラムは、Microsoft Updateで提供されるため、ほかのセキュリティ修正プログラムとともに選択・適用が可能だ。

■修正プログラムのアンインストールに必要な条件
 Excel 2000向けの修正プログラムはアンインストールできない。一方、Excel 2002/2003向けの修正プログラムは、以下の条件を満たせばアンインストール可能である。

  • OSがWindows XP SP2またはWindows Server 2003 SP1
  • Windows Installer 3.0以降をインストールした後で修正プログラムを適用
  • OfficeのインストールCDにアクセス可能

■適用可能なExcel Viewer 2003のバージョン
 2006年7月12日時点で配布されている最新のExcel Viewer 2003(シートの表示のみが可能な無償提供のビューア)は、バージョン11.0.6412.0である。DA Labでは、これに対してMS06-037のExcel Viewer 2003向け修正プログラムを適用できることを確認した。これより古いバージョンでは適用できない可能性もある。もし適用に失敗した場合は、最新版のExcel Viewer 2003を以下のページからダウンロードしてインストールしてから、あらためてMS06-037の修正プログラムを適用すればよい。

・ダウンロード・センター(Excel Viewer 2003):
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?
FamilyID=c8378bf4-996c-4569-b547-75edbd03aaf0&DisplayLang=ja

 MS06-037の修正プログラムを適用すると、Excel Viewer 2003のバージョンは11.0.8033.0に上がる。

■Windows 98/98SE/MeではWindows Installer 2.0が必要
 Windows 98/98SE/Me+Office 2000/XP/2003の環境に、MS06-037の修正プログラムを適用する場合には、事前にWindows Installer 2.0をインストールしておく必要がある。Windows 2000 SP3以降のOS(Windows XP、Windows Server 2003を含む)には、Windows Installer 2.0以降が含まれているので、事前にWindows Installer 2.0をインストールする必要はない。

・ダウンロード・センター(Windows Installer 2.0 Redistributable for Windows 95, 98, and Me):
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?&
FamilyID=CEBBACD8-C094-4255-B702-DE3BB768148F&displaylang=en

 
‥‥‥ 修正プログラムのダウンロード先 ‥‥‥
プラットフォーム ダウンロード・センター Office Update/MU/WSUSの表示
Excel 2000 Excel 2000 セキュリティ更新プログラム: KB918424
Excel 2002
Excel 2002 セキュリティ更新プログラム: KB918420
Excel 2003 Excel 2003 セキュリティ更新プログラム: KB918419
Excel Viewer 2003 Excel Viewer 2003 セキュリティ更新プログラム: KB918425
 
‥‥‥ 適用されるファイル情報 ‥‥‥
 以下のファイルにパッチが適用される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
 
Excel 2000(Office 2000 SP3):
ファイル名 日付 バージョン サイズ
office2000-kb918424-fullfile-jpn.exe
(管理者用)
2006/06/29 5.0.2919.6307
3,882,144
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Microsoft Office\Office\(デフォルトの設定)
EXCEL.EXE 2006/06/26 9.0.0.8946
7,233,581
Microsoft Excel for Windows
 
Excel 2002(Office XP SP3):
ファイル名 日付 バージョン サイズ
officexp-KB918420-FullFile-JPN.exe
(管理者用)
2006/07/08 10.0.6810.0
13,890,384
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Microsoft Office\Office10\(デフォルトの設定)
EXCEL.EXE 2006/06/26 10.0.6809.0
9,358,096
Microsoft Excel
 
Excel 2003(Office 2003 SP1/SP2):
ファイル名 日付 バージョン サイズ
office2003-KB918419-FullFile-JPN.exe
(管理者用)
2006/06/29 11.0.8033.0
5,298,512
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Microsoft Office\Office11\(デフォルトの設定)
EXCEL.EXE 2006/06/23 11.0.8033.0
10,196,752
Microsoft Office Excel
 
Excel Viewer 2003:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
office2003-KB918425-FullFile-JPN.exe
2006/06/27 11.0.8033.0
2,564,944
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Microsoft Office\Office11\(デフォルトの設定)
XLVIEW.EXE 2006/06/23 11.0.8033.0
5,237,520
Microsoft Office Excel Viewer
 
‥‥‥ 確認方法 ‥‥‥

 修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、EXCEL.EXE/XLVIEW.EXEのファイルのバージョンをプロパティで調べることで確認できる。

 
予想適用時間

修正プログラム名 50台 100台 250台 500台
office2000-kb918424-fullfile-jpn.exe
(Office 2000 SP3)
13分 22分 48分 1時間32分
officexp-KB918420-FullFile-JPN.exe
(Office XP SP3)
14分 24分 55分 1時間46分
office2003-KB918419-FullFile-JPN.exe
(Office 2003 SP1/SP2)
13分 22分 49分 1時間34分
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。
 
UpdateEXPERT上の表示

・Excel 2000(Office 2000 SP3)
[展開ビュー]−[Office]タブに「名前:office2000-kb918424-fullfile-jpn.exe」で登録

・Excel 2002(Office XP SP3)
[展開ビュー]−[Office]タブに「名前:officexp-KB918420-FullFile-JPN.exe」で登録

・Excel 2003(Office 2003 SP1/SP2):
[展開ビュー]−[Office]タブに「名前:office2003-KB918419-FullFile-JPN.exe」で登録

 

HotFix Reportは、UpdateEXPERTユーザー向けの情報を含んでいます。UpdateEXPERTは、管理者の負担を大幅に軽減するHotFix管理ツールです。UpdateEXPERTに関する詳細ならびにお問い合わせは、アップデートテクノロジー株式会社のホームページをご参照ください。
 
Copyright (C) Digital Advantage Corp.
このメールは、HotFix Reportにご登録いただいておりますユーザー様にお送りしています。
無断で複製・再配信などを行うことはできません。 このメールに関する問い合わせ先:info@hotfix.jp
HotFix Reportでは、細心の注意を払って情報提供を行っておりますが、本サービスにおける情報の正確性、最新性、適切性などについて、明示的又は黙示的な保証を行いません。また本サービスの停止や欠陥、それらに起因して発生する損失や損害について、一切責任を負いません。