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Windowsプラットフォーム向けHotFix情報サービス
HotFix Alert:
2006
/07/13版
 
【登録日】2006/07/13
【更新日】2006/07/13
HFR BBS会議室
 
深刻度
1(緊急)
  2(重要)
  3(警告)
  4(注意)
攻撃コードの有無
あり
対策
至急適用
再起動の必要性
不要(必要な場合あり)
アンインストール
可能(Office 2000は不可)
対象環境
サーバ
クライアント
セキュリティ情報
MS06-038(日本)
MS06-038(US)
サポート技術情報
含まれる過去の修正
MS05-005(Office XPのみ)
脆弱性識別番号
MS06-038/917284
Officeの文字列やプロパティの解析の脆弱性により、リモートで任意のコードが実行される危険性
(Microsoft Office の脆弱性により、リモートでコードが実行される)


対応の緊急性:至急適用 [攻撃コード公開済み][攻撃事例あり]

危険性
                 
SP待ち
 
早期適用
 
緊急適用
脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。

可能性のある攻撃
攻撃手法
脆弱性の影響
リモート攻撃 ウイルス/ワーム 電子メール添付 Webサイトへの誘導 コードの実行 権限の昇格 情報の漏えい サービス拒否 なりすまし
 
       
 
‥‥‥ 概要 ‥‥‥

 Officeが文字列やプロパティを解析する過程にメモリ破損の脆弱性が存在し、リモートで任意のコードが実行される危険性がある。

 主にこの脆弱性は、細工したOfficeファイルを添付した電子メールによる攻撃に悪用されると思われる。また、Webページ上の細工したOfficeファイルへのリンクをクリックするように誘導することで攻撃が実行される危険性もある。Internet Explorer(IE)では、Office文書をインライン(IEのウィンドウ内部)で開くため、Officeを明示的に使っていなくても、IEによるWebページのブラジング作業中に攻撃が実行される可能性もあるので注意が必要だ。この際Office 2000では、ダイアログなどが表示されず、ユーザーの操作なしに起動してしまうので、特に危険性が高い(Office XP/2003では、ダイアログが表示される)。

 MS06-038の脆弱性は、すでに実証コードが公開されており、悪用された攻撃が報告されている。至急、修正プログラムを適用した方がよい。

 
脆弱性の内容

 MS06-038の修正プログラムは、以下の3件の脆弱性を解消する。

  • 解析の脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-1316)
  • 不正な文字列解析の脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-1540)
  • プロパティの脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-2389)

 「解析の脆弱性(CVE-2006-1316)」と「不正な文字列解析の脆弱性(CVE-2006-1540)」では、Officeが文字列を解析する過程に脆弱性が存在し、細工された文字列を含むOfficeファイルを開くと、メモリ破損が起こる。「プロパティの脆弱性(CVE-2006-2389)」は、Officeがプロパティを解析する過程に脆弱性が存在し、細工されたプロパティを持つOfficeファイルを開くと、メモリ破損が起こるというものだ。

 すべての脆弱性において、Office 2000で「緊急」、Office XP/2003で「重要」という深刻度が割り当てられている。これは前述のように、Webページ上で細工したOfficeファイルへのリンクをクリックすると、Office 2000ではユーザーの操作なしにOfficeが起動してしまい、攻撃を受ける危険性があるためだ。特にOffice 2000を利用している場合には、注意が必要である。

 
対象プラットフォーム

影響を受けるソフトウェア 対象プラットフォーム
Office 2000 Office 2000 SP3
Office XP Office XP SP3
Office 2003 Office 2003 SP1/SP2
Project 2000 Project 2000 SR-1
Project 2002 Project 2002 SP1
Visio 2002 Visio 2002 SP2
 
‥‥‥ DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント ‥‥‥

■適用テストの結果
 DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。

プラットフォーム
適用テスト結果
Windows 2000 Professional SP4+Office 2000 Professional SP3
Windows 2000 Professional SP4+Office XP Personal SP3
Windows 2000 Professional SP4+Office Personal 2003 Preinstall SP1
Windows 2000 Server SP4+Office 2000 Standard SP3
Windows 2000 Server SP4+Office XP Professional SP3
Windows 2000 Server SP4+Office Professional 2003 SP2
Windows XP Professional SP1a+Office XP Standard Enterprise SP3
Windows XP Professional SP1a+Office Personal 2003 SP2
Windows XP Professional SP2+Office 2000 Personal SP3
Windows XP Professional SP2+Office XP Standard SP3
Windows XP Professional SP2+Office Standard 2003 Enterprise SP1
Windows Server 2003, Standard SP未適用+Office XP Pro with FrontPage SP3
Windows Server 2003, Standard SP1+Office 2000 Premium SP3
Windows Server 2003, Standard SP1+Office Standard 2003 SP2
Windows Server 2003, Enterprise SP未適用+Office Professional 2003 Enterprise SP1
Windows Server 2003, Enterprise SP1+Office XP Professional Enterprise SP3

■MBSA 2.0の結果
 MS06-038のOffice XP/2003、Project 2002、Visio 2002向け修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.0で確認可能である。未適用の場合は、「Officeのセキュリティの更新プログラム」の「結果の詳細情報」に以下のいずれかが表示される。Office 2000とProject 2000は、MSBA 2.0でサポートされておらず、適用状態の確認はできない。

  • Office XP セキュリティ更新プログラム: KB917150
  • Office 2003 セキュリティ更新プログラム: KB917151
  • Project 2002 セキュリティ更新プログラム: KB917150
  • Visio 2002 セキュリティ更新プログラム: KB917150
 
適用時の注意点

■「Officeのオブジェクト・ライブラリにメモリ・アクセス・エラーの脆弱性」は未解消
 Officeには、2006/07/12日付けHotFix Weeklyで報告済みの「オブジェクト・ライブラリのメモリ・アクセス・エラーの脆弱性」が存在する。DA LabでMS06-038の修正プログラムを適用したOffice 2000/XP/2003環境を用意し、この脆弱性を検証するWordファイルを開いたところ、いずれの環境においてもWordが異常終了し、脆弱性が依然として存在することが明らかになった。すでに実証コード(脆弱性を検証するためのWordファイルを作成するもの)が公開されていることから、危険性は高まっている。Officeについては、MS06-038の修正プログラムの適用後も引き続き注意した方がよい。

・HotFix Weekly 2006/07/12日付け(Officeのオブジェクト・ライブラリにメモリ・アクセス・エラーの脆弱性):
http://www.hotfix.jp/archives/alert/2006/news06-0712.html#02

■Office 2000/Project 2000向けはOffice Updateで提供
 MS06-038のOffice 2000/Project 2000向けの修正プログラムは、ダウンロード・センターとOffice Updateで提供されている。Microsoft UpdateやWSUSはOffice 2000/Project 2000に対応していないため、MS06-038の修正プログラムは表示されないので注意が必要だ(自動更新でも適用されない)。ダウンロード・センターで修正プログラムを入手して手動で適用を行うか、Office Updateを実行する必要がある。

 なおOffice XP/2003、Project 2002/Visio 2002向けの修正プログラムは、Microsoft Update/WSUSで提供されるため、ほかのセキュリティ修正プログラムとともに選択・適用が可能だ。

■Office向けとProject向けの修正プログラムのファイル名は同じ
 MS06-038の修正プログラムは、Office向けとProject向けでまったく同じファイル名となっている。具体的には、Office 2000/Project 2000向けは「office2000-KB917152-FullFile-JPN.exe」で、Office XP/Project 2002向けは「officeXP-KB917150-FullFile-JPN.exe」である。もちろんOffice向けの修正プログラムは、Project 2002には適用できないし、その逆も同様だ。ダウンロード・センターなどから修正プログラムをダウンロードした際は、フォルダを分けるなどして、両方の修正プログラムが混同しないように管理した方がよい。

■Office XP向けはMS05-005を含む?
 TechNetセキュリティ情報によれば、MS06-038の修正プログラムには「含まれる過去のセキュリティ更新プログラム」が「なし」となっている。しかしDA Labで調べたところ、Office XP SP3については、MS05-005で置き換えられるファイル「MSO.DLL」よりも、新しいものがMS06-038に含まれている。つまり、Office XP向けのMS06-038の修正プログラムには、MS05-005の修正が含まれているものと思われる。なおMS06-038のProject 2002/Visio 2002向け修正プログラムは、MS05-005の修正は含まれていない。

■Projectのサーバ向け製品には影響なし
 TechNetセキュリティ情報MS06-038によれば、MS06-038の脆弱性が影響を及ぼすProjectファミリはクライアント向けのProject 2000/2002だけのようだ。サーバ向けのProject CentralやProject Server 2002については特に記載がなく、影響はないと思われる。

■修正プログラムのアンインストールに必要な条件
 Office 2000、Project 2002/Visio 2002向けの修正プログラムはアンインストールできない。一方、Office XP/2003向けの修正プログラムは、以下の条件を満たせばアンインストール可能である。

  • OSがWindows XP SP2またはWindows Server 2003 SP1
  • Windows Installer 3.0以降をインストールした後で修正プログラムを適用
  • OfficeのインストールCDにアクセス可能

■Windows 98/98SE/MeではWindows Installer 2.0が必要
 Windows 98/98SE/Me+Office 2000/XP/2003の環境に、MS06-038の修正プログラムを適用する場合には、事前にWindows Installer 2.0をインストールしておく必要がある。Windows 2000 SP3以降のOS(Windows XP、Windows Server 2003を含む)には、Windows Installer 2.0以降が含まれているので、事前にWindows Installer 2.0をインストールする必要はない。

・ダウンロード・センター(Windows Installer 2.0 Redistributable for Windows 95, 98, and Me):
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?&
FamilyID=CEBBACD8-C094-4255-B702-DE3BB768148F&displaylang=en

 
‥‥‥ 修正プログラムのダウンロード先 ‥‥‥
プラットフォーム ダウンロード・センター Office Update/MU/WSUSの表示
Office 2000 SP3 Office 2000 セキュリティ更新プログラム: KB917152
Office XP SP3
Office XP セキュリティ更新プログラム: KB917150
Office 2003 SP1/SP2 Office 2003 セキュリティ更新プログラム: KB917151
Project 2000 SR1 Microsoft Project 2000 セキュリティ更新プログラム: KB917152
Project 2002 SP1 Project 2002 セキュリティ更新プログラム: KB917150
Visio 2002 SP2 Visio 2002 セキュリティ更新プログラム: KB917150
 
‥‥‥ 適用されるファイル情報 ‥‥‥
 以下のファイルにパッチが適用される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
 
Office 2000 SP3:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
office2000-kb917152-fullfile-jpn.exe
(管理者用)
2006/06/03 5.0.2919.6307
2,967,712
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Microsoft Office\Office\(デフォルトの設定)
MSO9.DLL 2006/06/01 9.0.0.8944
5,595,185
Microsoft Office 2000 component
 
Office XP SP3:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
officexp-KB917150-FullFile-JPN.exe
(管理者用)
2006/06/03 10.0.6804.0
4,824,400
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\Smart Tag\
IETAG.DLL 2004/09/10 10.0.6731.0
105,152
Microsoft Office XP component
  %ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\Office10\
MSO.DLL 2005/05/31 10.0.6804.0
9,816,840
Microsoft Office XP component
 
Office 2003 SP1/SP2:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
office2003-KB917151-FullFile-JPN.exe
(管理者用)
2006/06/21 11.0.8030.0
11,341,136
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\Smart Tag\
IETAG.DLL 2005/03/17 11.0.6550.0
161,984
Microsoft Office 2003 component
  %ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\Office11\
MSO.DLL 2005/05/26 11.0.8028.0
12,254,984
Microsoft Office 2003 component
 
Project 2000 SR-1:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
office2000-KB917152-FullFile-JPN.exe
2006/06/29 9.0.11344.0
7,289,168
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Microsoft Office\Office\(デフォルトの設定)
MSO9.DLL 2006/06/01 9.0.0.8944
5,595,185
Microsoft Office 2000 component
 
Project 2002 SP1:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
officeXP-KB917150-FullFile-JPN.exe
2006/06/29 10.0.6803.0
4,622,160
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\Office10\
MSO.DLL 2005/05/31 10.0.6804.0
9,816,840
Microsoft Office XP component
 
Visio 2002 SP2:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
Visio2002-KB917150-FullFile-jpn.EXE
2006/06/13 10.2.6820.0
5,495,632
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\Office10\
MSO.DLL 2005/05/31 10.0.6804.0
9,816,840
Microsoft Office XP component
 
‥‥‥ 確認方法 ‥‥‥

 修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、MSO9.DLL/MSO.DLLのファイルのバージョンをプロパティで調べることで確認できる。

 
予想適用時間

修正プログラム名 50台 100台 250台 500台
office2000-kb917152-fullfile-jpn.exe
(Office 2000 SP3)
13分 21分 48分 1時間31分
officexp-KB917150-FullFile-JPN.exe
(Office XP SP3)
13分 23分 49分 1時間34分
office2003-KB917151-FullFile-JPN.exe
(Office 2003 SP1/SP2)
14分 24分 53分 1時間42分
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。
 
UpdateEXPERT上の表示

・Office 2000 SP3
[展開ビュー]−[Office]タブに「名前:office2000-kb917152-fullfile-jpn.exe」で登録

・Office XP SP3
[展開ビュー]−[Office]タブに「名前:officexp-KB917150-FullFile-JPN.exe」で登録

・Office 2003 SP1/SP2
[展開ビュー]−[Office]タブに「名前:office2003-KB917151-FullFile-JPN.exe」で登録

 

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