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Windowsプラットフォーム向けHotFix情報サービス
HotFix Alert:
2006
/08/10版
 
【登録日】2006/08/09
【更新日】2006/08/10
HFR BBS会議室
 
深刻度
1(緊急)
  2(重要)
  3(警告)
  4(注意)
攻撃コードの有無
あり
対策
至急適用
再起動の必要性
不要(必要な場合あり)
アンインストール
可能(Office 2000は不可)
対象環境
サーバ
クライアント
セキュリティ情報
MS06-048(日本)
MS06-048(US)
サポート技術情報
含まれる過去の修正
脆弱性識別番号
MS06-048/922968
PowerPointのレコード解析の脆弱性などにより、リモートで任意のコードが実行される危険性
(Microsoft Office の脆弱性により、リモートでコードが実行される)


対応の緊急性:至急適用 [攻撃コード公開済み][攻撃事例あり]

危険性
                 
SP待ち
 
早期適用
 
緊急適用
脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。

可能性のある攻撃
攻撃手法
脆弱性の影響
リモート攻撃 ウイルス/ワーム 電子メール添付 Webサイトへの誘導 コードの実行 権限の昇格 情報の漏えい サービス拒否 なりすまし
 
       
 
‥‥‥ 概要 ‥‥‥

 PowerPointのシェイプやレコードを解析する過程に未チェック・バッファの脆弱性が存在し、リモートで任意のコードが実行される危険性がある。

 MS06-048の脆弱性は、PowerPointに起因するものである。しかしWordやExcelなどほかのOffice文書にPowerPointのプレゼンテーションが埋め込まれて攻撃が実行される危険性もある。PowerPointのプレゼンテーションだけでなく、ほかのOffice文書形式についても攻撃に悪用される可能性があるので注意が必要だ。

 主にこの脆弱性は、細工したOfficeファイルを添付した電子メールによる攻撃に悪用されると思われる。また、Webページ上の細工したOfficeファイルへのリンクをクリックするように誘導することで攻撃が実行される危険性もある。Internet Explorer(IE)では、Office文書をインライン(IEのウィンドウ内部)で開くため、Officeを明示的に使っていなくても、IEによるWebページのブラジング作業中に攻撃が実行される可能性もあるので注意が必要だ。この際Office 2000では、ダイアログなどが表示されず、ユーザーの操作なしに起動してしまうので、特に危険性が高い(Office XP/2003では、ダイアログが表示される)。

 MS06-048の脆弱性は、すでに実証コードが公開されており、悪用した攻撃が報告されている。至急、修正プログラムを適用した方がよい。

 
脆弱性の内容

 MS06-048の修正プログラムは、以下の2件の脆弱性を解消する。

■Microsoft PowerPointのMso.dllの脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-3590)
 PowerPointのシェイプを解析する過程に未チェック・バッファの脆弱性が存在する。不正な形式のシェイプ・コンテナを含むファイルをPowerPointで開くと、脆弱性が悪用され、任意のコードが実行されてしまう。

 この脆弱性は、2006/07/19日付け配信のHotFix Weeklyで既報のとおり、実証コード(PowerPointが異常終了するPPTファイルを作成するプログラム)が公開されており、この脆弱性を悪用した攻撃例も報告されている。前述のようにPowerPoint 2000を利用している場合、Webによる攻撃において明示的にダイアログが表示されず、リンクをクリックしただけでコードが実行されてしまうので、特に注意が必要である。

・HotFix Weekly 2006/07/19日付け(Officeのオブジェクト・ライブラリにメモリ・アクセス・エラーの脆弱性):
http://www.hotfix.jp/archives/alert/2006/news06-0719.html#01

・Bugtraq(MS Power Point Multiple Vulnerabilities - (mso.dll) POC):
http://www.securityfocus.com/archive/1/440107/30/60/threaded

■Microsoft PowerPointの不正な形式のレコードの脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-3449)
 PowerPointのレコードを解析する過程に未チェック・バッファの脆弱性が存在する。PowerPointで不正な形式のレコードを含むファイルを開くと、脆弱性が悪用され、任意のコードが実行されてしまう。

 マイクロソフトによれば、この脆弱性は非公開で報告されたとしており、実証コードや攻撃例は確認されていないという。

 
対象プラットフォーム

影響を受けるソフトウェア 対象プラットフォーム
Office 2000 Office 2000 SP3
Office XP Office XP SP3
Office 2003 Office 2003 SP1/SP2
 
‥‥‥ DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント ‥‥‥

■適用テストの結果
 DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。

プラットフォーム
適用テスト結果
Windows 2000 Professional SP4+Office 2000 Professional SP3
Windows 2000 Professional SP4+Office XP Personal SP3
Windows 2000 Professional SP4+Office Personal 2003 Preinstall SP1
Windows 2000 Server SP4+Office 2000 Standard SP3
Windows 2000 Server SP4+Office XP Professional SP3
Windows 2000 Server SP4+Office Professional 2003 SP2
Windows XP Professional SP1a+Office XP Standard Enterprise SP3
Windows XP Professional SP1a+Office Personal 2003 SP2
Windows XP Professional SP2+Office 2000 Personal SP3
Windows XP Professional SP2+Office XP Standard SP3
Windows XP Professional SP2+Office Standard 2003 Enterprise SP1
Windows Server 2003, Standard SP未適用+Office XP Pro with FrontPage SP3
Windows Server 2003, Standard SP1+Office 2000 Premium SP3
Windows Server 2003, Standard SP1+Office Standard 2003 SP2
Windows Server 2003, Enterprise SP未適用+Office Professional 2003 Enterprise SP1
Windows Server 2003, Enterprise SP1+Office XP Professional Enterprise SP3

■MBSA 2.0の結果
 MS06-048のOffice XP/2003向け修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.0で確認可能である。未適用の場合は、「Officeのセキュリティの更新プログラム」の「結果の詳細情報」に以下のいずれかが表示される。Office 2000は、MSBA 2.0でサポートされておらず、適用状態の確認はできない。

  • Office XP セキュリティ更新プログラム: KB921567
  • Office 2003 セキュリティ更新プログラム: KB921566
 
適用時の注意点

■「Officeのオブジェクト・ライブラリにメモリ・アクセス・エラーの脆弱性」は未解消
 Officeには、2006/07/12日付けHotFix Weeklyで報告済みの「オブジェクト・ライブラリのメモリ・アクセス・エラーの脆弱性」が存在する。この脆弱性も、MS06-048で置き換える「mso9.dll/mso.dll」に起因するものである。

 しかしDA LabでMS06-048の修正プログラムを適用したOffice 2000/XP/2003環境を用意し、この脆弱性を検証するWordファイルを開いたところ、いずれの環境においてもWordが異常終了し、脆弱性が依然として存在することが明らかになった。つまり「mso9.dll/mso.dll」には、解消されていない脆弱性が依然として存在するということだ。

 すでに実証コード(脆弱性を検証するためのWordファイルを作成するもの)が公開されていることから、危険性は高まっている。Officeについては、MS06-048の修正プログラムの適用後も引き続き注意した方がよい。

・HotFix Weekly 2006/07/12日付け(Officeのオブジェクト・ライブラリにメモリ・アクセス・エラーの脆弱性):
http://www.hotfix.jp/archives/alert/2006/news06-0712.html#02

■NS06-048の修正プログラムを適用してもPowerPointには脆弱性が残る?
 PowerPointには、2006/07/19日付けHotFix Weeklyの「PowerPointにメモリ破損の脆弱性」において、PowerPointの脆弱性として、mso.dllの脆弱性とは異なるものが存在することも報告している。

・HotFix Weekly 2006/07/19日付け(PowerPointにメモリ破損の脆弱性):
http://www.hotfix.jp/archives/alert/2006/news06-0719.html#01
#「なおnaveed afzal氏は」の段落以下を参照のこと。

 DA Labで、実証コードより作成したPowerPointのプレゼンテーションを開いたところ、PowerPoint 2000/2002/2003で「MS Power Point Multiple Vulnerabilities (powerpnt.exe)- POC」の脆弱性が残っていることを確認した。

・Bugtraq(MS Power Point Multiple Vulnerabilities (powerpnt.exe)- POC):
http://www.securityfocus.com/archive/1/440106/30/60/threaded

 一方で、「MS Power Point Multiple Vulnerabilities - (memory corruption) POC」はMS06-048の修正プログラム適用により、PowerPointが異常終了することはなくなったことから、脆弱性は解消しているものと思われる。

・Bugtraq(MS Power Point Multiple Vulnerabilities - (memory corruption) POC):
http://www.securityfocus.com/archive/1/440108/30/60/threaded

■PowerPointが存在しなくても、MS06-048の修正プログラムの適用が要求される
 MS06-048の脆弱性はPowerPointのみ影響を受けるとのことだ。しかし、製品構成としてPowerPointを含まないOffice 2000/XP/2003のPersonal版であっても、Microsoft UpdateやOffice Updateで検索すると、MS06-048の修正プログラムがリストアップされる。これはMS06-048によって更新される「mso9.dll/mso.dll」がPowerPoint固有のものではなく、Office全般で共有されているためと思われる。

■Office 2000向けはOffice Updateで提供
 MS06-048のOffice 2000向けの修正プログラムは、ダウンロード・センターとOffice Updateで提供されている。Microsoft UpdateはOffice 2000に対応していないため、MS06-048の修正プログラムは表示されないので注意が必要だ(自動更新でも適用されない)。ダウンロード・センターで修正プログラムを入手して手動で適用を行うか、Office Updateを実行する必要がある。

 なおOffice XP/2003向けの修正プログラムは、Microsoft Updateで提供されるため、ほかのセキュリティ修正プログラムとともに選択・適用が可能だ。

■修正プログラムのアンインストールに必要な条件
 Office 2000向けの修正プログラムはアンインストールできない。一方、Office XP/2003向けの修正プログラムは、以下の条件を満たせばアンインストール可能である。

  • OSがWindows XP SP2またはWindows Server 2003 SP1
  • Windows Installer 3.0以降をインストールした後で修正プログラムを適用
  • OfficeのインストールCDにアクセス可能
 
‥‥‥ 修正プログラムのダウンロード先 ‥‥‥
プラットフォーム ダウンロード・センター Office Update/MU/WSUSの表示
Office 2000 SP3 Office 2000 セキュリティ更新プログラム: KB921568
Office XP SP3
Office XP セキュリティ更新プログラム: KB921567
Office 2003 SP1/SP2 Office 2003 セキュリティ更新プログラム: KB921566
 
‥‥‥ 適用されるファイル情報 ‥‥‥
 以下のファイルにパッチが適用される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
 
Office 2000 SP3:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
office2000-kb921568-fullfile-jpn.exe
(管理者用)
2006/07/21 5.0.2919.6307
2,967,200
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Microsoft Office\Office\(デフォルトの設定)
MSO9.DLL 2006/07/20 9.0.0.8948
5,595,185
Microsoft Office 2000 component
 
Office XP SP3:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
officexp-KB921567-FullFile-JPN.exe
(管理者用)
2006/07/18 10.0.6811.0
4,822,352
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\Smart Tag\
IETAG.DLL 2004/09/10 10.0.6731.0
105,152
Microsoft Office XP component
  %ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\Office10\
MSO.DLL 2006/07/14 10.0.6811.0
9,816,840
Microsoft Office XP component
 
Office 2003 SP1/SP2:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
office2003-KB921566-FullFile-JPN.exe
(管理者用)
2006/07/19 11.0.8036.0
11,340,624
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\Smart Tag\
IETAG.DLL 2005/03/17 11.0.6550.0
161,984
Microsoft Office 2003 component
  %ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\Office11\
MSO.DLL 2006/07/14 11.0.8036.0
12,256,008
Microsoft Office 2003 component
 
‥‥‥ 確認方法 ‥‥‥

 修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、MSO9.DLL/MSO.DLLのファイルのバージョンをプロパティで調べることで確認できる。

 
予想適用時間

修正プログラム名 50台 100台 250台 500台
office2000-kb921568-fullfile-jpn.exe
(Office 2000 SP3)
13分 21分 48分 1時間31分
officexp-KB921567-FullFile-JPN.exe
(Office XP SP3)
13分 23分 49分 1時間34分
office2003-KB921566-FullFile-JPN.exe
(Office 2003 SP1/SP2)
14分 24分 53分 1時間42分
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。
 
UpdateEXPERT上の表示(予定)

・Office 2000 SP3
[展開ビュー]−[Office]タブに「名前:office2000-kb921568-fullfile-jpn.exe」で登録

・Office XP SP3
[展開ビュー]−[Office]タブに「名前:officexp-KB921567-FullFile-JPN.exe」で登録

・Office 2003 SP1/SP2
[展開ビュー]−[Office]タブに「名前:office2003-KB921566-FullFile-JPN.exe」で登録

 

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