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Windowsプラットフォーム向けHotFix情報サービス
HotFix Alert:
2006
/09/13版
 
【登録日】2006/09/13
【更新日】2006/09/13
HFR BBS会議室
 
深刻度
1(緊急)
  2(重要)
  3(警告)
  4(注意)
攻撃コードの有無
なし
対策
至急適用
再起動の必要性
不要(必要な場合あり)
アンインストール
可能(Office 2000は不可)
対象環境
サーバ
クライアント
セキュリティ情報
MS06-054(日本)
MS06-054(US)
サポート技術情報
含まれる過去の修正
なし
脆弱性識別番号
MS06-054/910729
Publisherのメモリ破損の脆弱性により、リモートで任意のコードが実行される危険性
(Microsoft Publisher の脆弱性により、リモート コードが実行される)


対応の緊急性:至急適用 [攻撃コード未公開][攻撃事例なし]

危険性
                 
SP待ち
 
早期適用
 
緊急適用
脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。

可能性のある攻撃
攻撃手法
脆弱性の影響
リモート攻撃 ウイルス/ワーム 電子メール添付 Webサイトへの誘導 コードの実行 権限の昇格 情報の漏えい サービス拒否 なりすまし
 
       
 
‥‥‥ 概要 ‥‥‥

 Publisherの.pubファイルのコンテンツを処理する過程で十分なデータ検証が行われないことから、メモリ破損の脆弱性が存在する。細工された.pubファイルを開くと、任意のコードが実行される危険性がある。

 主にこの脆弱性は、細工したファイルを添付した電子メールによる攻撃に悪用されると思われる。社内文書に偽装した電子メールに細工を施したファイルを添付するといった、ソーシャル・エンジアリングの手法が悪用される危険性が高い。

 また、Webページ上に配置した、細工済みのファイルへのリンクをクリックするように誘導することで、攻撃が実行される危険性もある。Internet Explorer(IE)では、Office文書をインライン(IEのウィンドウ内部)で開くため、Officeを明示的に使っていなくても、IEによるWebページのブラジング作業中に攻撃が実行される可能性もあるので注意が必要だ。この際Office 2000では、警告ダイアログなどが表示されず、ユーザーの操作なしに起動してしまうので、特に危険性が高い(Office XP/2003では、警告ダイアログが表示される)。

 マイクロソフトによれば、MS06-054の脆弱性は非公開で報告されたとしており、現時点で攻撃例は確認されていないという。しかしPublisherを利用している場合は、攻撃を受ける危険性が高いので、至急、修正プログラムを適用した方がよい。Publisherをインストールしていなくても、後述のようにOfficeには脆弱性の影響を受けるファイルが含まれているので、なるべく早期に修正プログラムを適用した方がよいだろう。

 
脆弱性の内容

 Publisherは、OfficeのProfessional版などに含まれる簡易なDTPアプリケーションである。Publisherを利用することで、ビジネス文書やセールス・ツールなどのレイアウトを容易に作成することが可能になる。

 Publisherが不正な形式の文字列のファイルを解析する際に、データの長さを検証せずにコピーするため、メモリ破損が起きる。細工された.pubファイルを開くと、仕込まれたコードが実行されてしまう。

 
対象プラットフォーム

影響を受けるソフトウェア 対象プラットフォーム
Publisher 2000 Office 2000 SP3
Publisher 2002 Office XP SP3
Publisher 2003 Office 2003 SP1/SP2
 
‥‥‥ DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント ‥‥‥

■適用テストの結果
 DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。

プラットフォーム
適用テスト結果
Windows 2000 Professional SP4+Office 2000 Professional SP3
Windows 2000 Professional SP4+Outlook 2000 単体版 SP3
Windows 2000 Professional SP4+Office XP Personal SP3
Windows 2000 Server SP4+Office 2000 Standard SP3
Windows 2000 Server SP4+Office XP Professional SP3
Windows 2000 Server SP4+Office Professional 2003 SP2
Windows XP Professional SP1+Office Professional 2003 Enterprise SP2
Windows XP Professional SP1a+Office XP Standard Enterprise SP3
Windows XP Professional SP2+Office 2000 Personal SP3
Windows XP Professional SP2+Office XP Standard SP3
Windows Server 2003, Standard SP未適用+Outlook 2000 単体版 SP3
Windows Server 2003, Standard SP未適用+Office XP Pro with FrontPage SP3
Windows Server 2003, Standard SP1+Office 2000 Premium SP3
Windows Server 2003, Enterprise SP未適用+Office Professional 2003 Enterprise SP1
Windows Server 2003, Enterprise SP1+Office XP Professional Enterprise SP3

■MBSA 2.0の結果
 MS06-054のOffice XP/2003(Publisher 2002/2003)向け修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.0で確認可能である。未適用の場合は、「Officeのセキュリティの更新プログラム」の「結果の詳細情報」に以下のいずれかが表示される。Office 2000(Publisher 2000)は、MSBA 2.0でサポートされておらず、適用状態の確認はできない。

  • Publisher 2002 のセキュリティ更新プログラム (KB894541)
  • Publisher 2003 セキュリティ更新プログラム (KB894542)
 
適用時の注意点

■Publisherがインストールされていなくても、修正プログラムの適用を推奨
 MS06-054の修正プログラムは、Publisher 2000/2002/2003に存在する脆弱性を解消するものである。しかし別のOfficeアプリケーションでも、この修正プログラムで更新されるファイルのいくつかを使用していることから、マイクロソフトは、Publisherの有無とは無関係に、Office 2000/XP/2003に対してMS06-054の修正プログラムをインストールすることを推奨している。

 そのため、Publisherがインストールされていなくても、Office 2000/XP/2003がインストールされていれば、Office Updateや自動更新/Microsoft UpdateなどでMS06-054の修正プログラムが表示される。Publisherのインストールの有無にかかわらず、Office 2000/XP/2003がインストールされている場合は、MS06-054の修正プログラムを適用した方がよい。

 Officeのエディションによっては、MS06-054の修正プログラムを必要としない場合がある。DA Lab.で調査した限りでは、MS06-054の対象となる日本語版Office製品は下表のとおりだ。

Officeのファミリ MS06-054が対象とする製品
Office 2000ファミリ Office 2000スイート全般、Word/Excel/Outlook/PowerPoint/Access/FrontPage/Publisherの各単体版
Office XPファミリ Office XPスイート全般、Word/Excel/PowerPoint/Publisherの各単体版
Office 2003ファミリ Office Professional 2003の各スイート、Publisher単体版

■MS06-054の修正プログラムを適用するとPublisher 2.0のファイルが開けなくなる不具合
 MS06-054の修正プログラムを適用すると、Publisher 2.0で作成した文書ファイルが開けなくなる不具合が生じる。開けない文書ファイルは、MS06-054を適用していないPublisher 2000/2002/2003でいったん開いてから、[ファイル]−[名前を付けて保存]を実行して「ファイルの種類」を「Publisher ファイル」に変更して保存する。これでMS06-054を適用したPublisherでも開けるようになる。

■Publisher 2000向けはOffice Updateで提供
 MS06-054のPublisher 2000向けの修正プログラムは、ダウンロード・センターとOffice Updateで提供されている。Microsoft UpdateはPublisher 2000に対応していないため、MS06-054の修正プログラムは表示されないので注意が必要だ(自動更新でも適用されない)。ダウンロード・センターで修正プログラムを入手して手動で適用を行うか、Office Updateを実行する必要がある。

 なおPublisher 2002/2003向けの修正プログラムは、Microsoft Updateで提供されるため、ほかのセキュリティ修正プログラムとともに選択・適用が可能だ。

■修正プログラムのアンインストールに必要な条件
 Publisher 2002/2003向けの修正プログラムは、以下の条件を満たせばアンインストール可能である。

  • OSがWindows XP SP2またはWindows Server 2003 SP1
  • Windows Installer 3.0以降をインストールした後で修正プログラムを適用
  • OfficeのインストールCDにアクセス可能
 なおPublisher 2000向けの修正プログラムはアンインストールできないので適用には十分に注意した方がよい。
 
‥‥‥ 修正プログラムのダウンロード先 ‥‥‥
プラットフォーム ダウンロード・センター Office Update/MU/WSUSの表示
Office 2000 SP3
(Publisher 2000)
Publisher 2000 セキュリティ更新プログラム (KB894540)
Office XP SP3
(Publisher 2002)
Publisher 2002 のセキュリティ更新プログラム (KB894541)
Office 2003 SP1/SP2
(Publisher 2003)

Publisher 2003 セキュリティ更新プログラム (KB894542)

 
‥‥‥ 適用されるファイル情報 ‥‥‥
 以下のファイルにパッチが適用される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
 
Office 2000 SP3:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
office2000-kb894540-fullfile-jpn.exe 2006/08/01 5.0.2919.6307
1,652,904
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Microsoft Office\Office\(デフォルトの設定)
MSPUB.EXE 2006/07/28 9.0.0.8930
3,399,680
Microsoft Publisher 2000 Version 6.0
PRTF9.DLL 2005/12/13 9.0.0.8929
110,592
Microsoft Publisher 2000
PTXT9.DLL 2005/12/13 9.0.0.8929
471,040
Microsoft Publisher 2000
Publisherがインストールされていない場合、MSPUB.EXEは存在しない。
 
Office XP SP3:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
officexp-KB894541-FullFile-JPN.exe
2006/08/15 10.0.6815.0
2,607,952
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Microsoft Office\Office10\(デフォルトの設定)
MSPUB.EXE 2006/08/11 10.0.6815.0
4,188,944
Microsoft Publisher
PRTF9.DLL 2005/12/07 10.0.6784.0
137,920
Microsoft Publisher RTF Converter
PTXT9.DLL 2005/12/07 10.0.6784.0
596,672
Microsoft Publisher TXT Converter
Publisherがインストールされていない場合、MSPUB.EXEは存在しない。
 
Office 2003 SP1/SP2:
ファイル名 日付 バージョン サイズ
office2003-KB894542-FullFile-JPN.exe
2006/08/16 11.0.8103.0
2,831,696
 
ファイル名 日付 バージョン サイズ 機能
展開フォルダ %ProgramFiles%\Microsoft Office\Office11\(デフォルトの設定)
MSPUB.EXE 2006/08/12 11.0.8103.0
6,429,456
Microsoft Office Publisher
PRTF9.DLL 2005/12/06 11.0.8004.0
130,752
Microsoft Office Publisher RTF Converter
PTXT9.DLL 2005/12/06 11.0.8004.0
605,376
Microsoft Office Publisher TXT Converter
Publisherがインストールされていない場合、MSPUB.EXE/PRTF9.DLL/PTXT9.DLLは存在しない。
 
‥‥‥ 確認方法 ‥‥‥

 修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、MSPUB.EXE/PRTF9.DLL/PTXT9.DLLのファイルのバージョンをプロパティで調べることで確認できる。なおPublisherがインストールされていない場合は、MSPUB.EXEは存在しない。

 
予想適用時間

修正プログラム名 50台 100台 250台 500台
office2000-kb894540-fullfile-jpn.exe
(Office 2000 SP3)
13分 21分 47分 1時間30分
officexp-KB894541-FullFile-JPN.exe
(Office XP SP3)
13分 21分 47分 1時間31分
office2003-KB894542-FullFile-JPN.exe
(Office 2003 SP1/SP2)
13分 21分 48分 1時間31分
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。
 
UpdateEXPERT上の表示(予定)

・Office 2000 SP3
[展開ビュー]−[Office]タブに「名前:office2000-kb894540-fullfile-jpn.exe」で登録

・Office XP SP3
[展開ビュー]−[Office]タブに「名前:officexp-KB894541-FullFile-JPN.exe」で登録

・Office 2003 SP1/SP2
[展開ビュー]−[Office]タブに「名前:office2003-KB894542-FullFile-JPN.exe」で登録

 

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