MS06-077/926121 |
リモート・インストール・サービスによるOS展開方法の脆弱性により、リモートで任意のコードが実行される危険性 |
(リモート インストール サービス (RIS) の脆弱性により、リモートでコードが実行される) |
対応の緊急性:早期適用 [攻撃コード未公開][攻撃事例なし]
|
危険性 |
|
脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。 |
可能性のある攻撃
攻撃手法
|
脆弱性の影響
|
リモート攻撃 |
ウイルス/ワーム |
電子メール添付 |
Webサイトへの誘導 |
コードの実行 |
権限の昇格 |
情報の漏えい |
サービス拒否 |
なりすまし |
○
|
|
|
|
○
|
|
|
|
|
|
|
|
|
Windows 2000 Server/Advanced Serverのリモート・インストール・サービス(RIS)には、デフォルトで匿名ユーザーによる書き込みアクセスが可能なTFTPサービスを有効にしてしまう仕様に起因する脆弱性が存在する。この機能が悪用されると、匿名ユーザーによって細工された実行ファイル(ウイルスやバックドアなどが仕込まれたOSイメージ)がRISサーバ上に置かれてしまう危険性がある。その結果、細工されたファイルがRISを利用してOSの展開(インストール)を実施したコンピュータにインストールされ、クライアントPC上でウイルスなどが実行されてしまう。つまり、脆弱性が存在するのは、サーバ側のRISの仕様だが、脆弱性の影響を受けるのは、RISを利用してOSをインストールしたクライアントPC側ということになる。
RISは、デフォルトではインストールされていない。ただしリモート・インストール用のPXE環境を構築している場合は、RISがインストールされているので、脆弱性の影響を受けることになる。ファイアウォールの設定によっては、インターネット経由で匿名ユーザーによる攻撃が行われる危険性もあるので注意が必要だ。
マイクロソフトによれば、MS06-077の脆弱性は非公開で報告されたとしており、現時点で攻撃例は確認されていないという。この脆弱性が悪用されると、中央から複数のクライアントPCに展開するための、大元のインストール・イメージ・ファイルがリモートから細工されたり、改ざんされたりする。万一悪用された場合には、広範囲に影響が広がる危険性がある。なるべく早期に修正プログラムを適用した方がよい。
|
脆弱性の内容
|
RISはWindows Serverに標準装備されている機能で、OSをネットワーク経由でインストール可能にするものである。MS06-077の脆弱性は、RISがインストール・イメージ(インストールされるOSを構成するファイル群)の配布に利用するTFTPサービスをリモートから書き込み可能な設定のまま有効にすることに起因する。
有効になったTFTPサービスを使い、匿名ユーザーであっても、サーバ上に置かれたインストール・イメージへの上書きや細工されたファイルのアップロードが可能になってしまう(書き換え可能なのは、TFTPで指定されているフォルダのみ)。そのため、RISサーバ上に置かれたリモート・インストール向けのOSが改ざんされ、その結果、RISサーバによってOSがインストールされたコンピュータ上で細工されたファイルが実行されることになる。
|
対象プラットフォーム
|
影響を受けるソフトウェア |
対象プラットフォーム |
Windows 2000 |
Windows 2000 Server/Advanced Server SP4 |
|
|
‥‥‥ DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント
‥‥‥
|
■適用テストの結果
DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。
プラットフォーム
|
適用テスト結果
|
Windows 2000 Server SP4 |
○
|
Windows 2000 Advanced Server SP4 |
○
|
○は問題なし、△は一部に問題あり、×は適用による障害あり |
■MBSA 2.0の結果
MS06-077の修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.0で確認可能だ。未適用の場合は、「Windowsのセキュリティの更新」の「結果の詳細情報」に以下のいずれかが表示される。
- Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB926121)
|
適用時の注意点
|
■RISがインストールされている場合にのみWindows Update/Microsoft Updateで提供
RISは、デフォルトではWindows OSにインストールされていない。Windows Update/Microsoft Update/自動更新では、RISがインストールされている場合にのみ、MS06-077の修正プログラムの表示を行う。ダウンロード・センターから修正プログラムをダウンロードし、RISが未インストールのコンピュータに対して手動による適用を行うと、修正プログラムはエラー・メッセージを表示し、適用を中止する。
■TFTPサービスを匿名ユーザーによる読み取り専用にする
MS06-077の修正プログラムは、以下のようにレジストリを修正してTFTPサービスを匿名ユーザーによる読み取り専用に変更する。
キー |
HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services\
TFTPD\Parameters |
値の名前 |
Masters |
値の型 |
文字列(REG_SZ) |
値のデータ |
(値の設定なし) |
MS06-077の修正プログラムは、RISやTFTPサービスを構成する.DLL/.EXEファイルを更新しない。上記のレジストリ設定だけで脆弱性を解消する。
■RISのインストールの確認およびアンインストールの方法
RISがインストール済みか否かを確認するには、まず[コントロール パネル]の[アプリケーションの追加と削除]アプレットを開き、左端にある[Windows
コンポーネントの追加と削除]を選ぶ。すると[Windows コンポーネント ウィザード]というウィザードが表示されるので、[リモート インストール サービス]チェックボックスを見つける。これがオンであればRISはインストール済みだ。このチェックボックスをオフにしてウィザードを進めれば、RISをアンインストールできる。
|
|
|
プラットフォーム |
ダウンロード・センター |
WU/MU/WSUSの表示 |
Windows 2000 Server/Advanced Server SP4 |
|
Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB926121) |
|
|
|
Windows 2000 Server/Advanced Server SP4:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows2000-KB926121-x86-JPN.EXE |
2006/11/03 |
1.0.0.0 |
490,984
|
置き換わるファイルはない |
|
|
修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、以下のレジストリ・キーにある値を調べることで確認できる。
・Windows 2000 Server/Advanced Server SP4:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows 2000\SP5\KB926121というキーが存在することを確認する
HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services\TFTPD\ParametersにあるMastersのデータが「(値の設定なし)」であることを確認する
|
予想適用時間
|
修正プログラム名 |
50台 |
100台 |
250台 |
500台 |
Windows2000-KB926121-x86-JPN.EXE
(Windows 2000 Server/Advanced Server SP4) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。
|
UpdateEXPERT上の表示
|
・Windows 2000 Server/Advanced Server SP4:
[展開ビュー]−[IIS]タブに「名前:Windows2000-KB926121-x86-JPN.EXE」で登録
|
|