MS07-062/941672 |
Windows DNSサーバのトランザクションID生成の脆弱性により、なりすましが行われる危険性 |
(DNS の脆弱性により、なりすましが行われる) |
対応の緊急性:早期適用 [攻撃コード未公開][攻撃事例なし]
|
危険性 |
|
脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。 |
可能性のある攻撃
攻撃手法 |
脆弱性の影響 |
リモート攻撃 |
ウイルス/ワーム |
電子メール添付 |
Webサイトへの誘導 |
コードの実行 |
特権の昇格 |
情報の漏えい |
サービス拒否 |
なりすまし |
○ |
|
|
|
|
|
|
|
○ |
|
|
|
|
Windowsドメイン・ネーム・システム(DNS)サーバのトランザクションIDが予測可能である脆弱性が存在する。DNSサーバからの要求に対して、細工された応答を返すことで、本来とは異なる接続先に誘導されてしまう危険性がある。
DNSサーバが細工されてしまうと、ユーザーは本物か偽のWebサイトかをURLなどで判断できず、Webサイトの偽装を見破るのが困難になってしまう。ユーザーが目的とする本来のサイト(銀行やクレジット・カード会社など)のURLを正しく入力しても、自動的に偽のWebサイトへと誘導されるからだ。特定の企業をターゲットとした攻撃に悪用される危険性もあるので注意が必要だ。
脆弱性の影響を受けるDNSサーバ・サービスは、Windows Server OSにデフォルトで実装されている機能で、DNSサーバとして運用している場合はもちろん、ドメイン・コントローラやSmall
Business Serverでもこのサービスが有効になっている。Windows 2000 Professional、Windows XP、Windows
Vistaでは、DNSサーバ・サービスは実装されていないので、この脆弱性の影響を受けない。
マイクロソフトによれば、MS07-062の脆弱性は非公開で報告されたとしており、攻撃例は確認されていないという。ただし脆弱性の内容が公開されたことから、実証コードが開発され、攻撃に悪用されることが懸念される。なるべく早急に修正プログラムを適用した方がよい。 |
脆弱性の内容
|
DNSサーバがトランザクションIDを生成するアルゴリズムに乱数生成の不規則性が足りず、予測可能となる脆弱性が存在する。トランザクションIDとはDNSサーバからの各要求に割り当てられる識別用の番号で、これを予測できると本来の返答者になりすましてDNSサーバに返答することができる。
DNSサーバからの要求に対して、攻撃者がトランザクションIDを予測し、細工した返答を返すことで、DNSのホスト名とIPアドレスの対応テーブルを書き換えることを可能にする。これにより、DNSサーバで名前解決をしているコンピュータが、本来とは異なる接続先に誘導される危険性がある。 |
対象プラットフォーム
|
影響を受けるソフトウェア |
対象プラットフォーム |
Windows 2000 Server |
Windows 2000 Server/Advanced Server SP4 |
Windows Server 2003 |
Windows Server 2003 SP1/R2/SP2 |
|
|
‥‥‥
DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント ‥‥‥ |
■適用テストの結果
DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。
プラットフォーム |
適用テスト結果 |
Windows 2000 Server SP4 |
○ |
Windows 2000 Advanced Server SP4 |
○ |
Windows Server 2003, Standard Edition SP1 |
○ |
Windows Server 2003, Enterprise Edition SP1 |
○ |
Windows Server 2003 R2, Standard Edition |
○ |
Windows Server 2003 R2, Enterprise Edition |
○ |
Windows Server 2003, Enterprise Edition SP2 |
○ |
Windows Server 2003 R2, Standard Edition SP2 |
○ |
○は問題なし、△は一部に問題あり、×は適用による障害あり |
■MBSA 2.0.1の結果
MS07-062の修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.0.1で確認可能である。未適用の場合は、「Windowsのセキュリティの更新プログラム」の「結果の詳細情報」に以下のいずれかが表示される。
- Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB941672)
- Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB941672)
|
適用時の注意点
|
■適用にはDNSサーバがインストールされていることが条件
MS07-062の修正プログラムは、DNSサーバ(dns.exe)がインストールされていることが適用条件となっている。Windows 2000 Server
SP4、Windows Server 2003 SP1/R2/SP2であっても、DNSサーバをインストールしていない場合は、以下のようなメッセージのエラー・ダイアログが表示され、修正プログラムの適用はできない。
「KB941672 のインストールのための必要条件がひとつ以上失敗したので、セットアップを続行できません。詳細については、ログ ファイル c:\winnt\KB941672.log
を確認してください。」 |
Windows Update/Microsoft Update/自動更新においても、DNSサーバがインストールされていなければ、MS07-062の修正プログラムは表示されない。
しかし後からDNSサーバをインストールした場合は、その時点で修正プログラムの適用が必要になるので注意が必要だ。特にMS07-062の脆弱性を悪用するウイルスなどが広まった場合、DNSサーバをインストールした時点で攻撃を受ける危険性がある。ネットワークを一時的に遮断して修正プログラムを適用するなどの細心の注意を払った方がよい。
■Windows Server 2003でシステムの再起動なしに適用する方法
Windows Server 2003の場合、修正プログラムの適用前にDNSサーバ・サービスを停止すれば、システムの再起動なしに適用可能とのことだ。ただし、適用後にDNSサーバ・サービスを手動で起動しなければならない点は要注意だ。
|
|
|
プラットフォーム |
ダウンロード・センター |
WU/MU/WSUSの表示 |
Windows 2000 Server SP4 |
|
Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB941672) |
Windows Server 2003 SP1/R2/SP2 |
|
Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB941672) |
|
|
|
以下のファイルにパッチが適用される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
Windows 2000 Server SP4:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows2000-KB941672-x86-JPN.EXE |
2007/10/17 |
1.0.0.0 |
620,912 |
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%SystemRoot%\system32\ |
dns.exe |
2007/10/17 |
5.0.2195.7147 |
330,512 |
Domain Name System (DNS) Server |
Windows Server 2003 SP1/R2/SP2:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsServer2003-KB941672-x86-JPN.exe |
2007/10/17 |
1.0.0.0 |
769,584 |
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(SP1GDR) |
%SystemRoot%\system32\ |
dns.exe |
2007/10/17 |
5.2.3790.3027 |
398,336 |
Domain Name System (DNS) Server |
展開フォルダ
(SP1QFE) |
%SystemRoot%\system32\ |
dns.exe |
2007/10/17 |
5.2.3790.3027 |
398,848 |
Domain Name System (DNS) Server |
w03s2411.dll* |
2007/10/17 |
5.2.3790.2957 |
49,152 |
Service Pack Messages |
展開フォルダ
(SP2GDR) |
%SystemRoot%\system32\ |
dns.exe |
2007/10/17 |
5.2.3790.4171 |
398,848 |
Domain Name System (DNS) Server |
展開フォルダ
(SP2QFE) |
%SystemRoot%\system32\ |
dns.exe |
2007/10/17 |
5.2.3790.4171 |
399,360 |
Domain Name System (DNS) Server |
w03s2411.dll* |
2007/10/17 |
5.2.3790.4106 |
775,680 |
Service Pack Messages |
*w03s2411.dllは、w03a2409.dllにファイル名が変更されてコピーされる。 |
|
|
修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、以下のレジストリ・キーにある値を調べることで確認できる。
・Windows 2000 Server SP4:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows 2000\SP5\KB941672\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows Server 2003 SP1/R2/SP2:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows Server 2003\SP3\KB941672\Filelist以下のファイル一覧を確認する |
予想適用時間
|
修正プログラム名 |
50台 |
100台 |
250台 |
500台 |
Windows2000-KB941672-x86-JPN.EXE
(Windows 2000 Server SP4) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
WindowsServer2003-KB941672-x86-JPN.exe
(Windows Server 2003 SP1/R2/SP2) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。 |
UpdateEXPERT上の表示
|
・Windows 2000 Server SP4:
[展開ビュー]−[IIS]タブに「名前:Windows2000-KB941672-x86-JPN.EXE」で登録
・Windows Server 2003 SP1/R2/SP2:
[展開ビュー]−[IIS]タブに「名前:WindowsServer2003-KB941672-x86-JPN.exe」で登録 |
|