MS05-010/885834 |
Windows Serverのライセンス・ログ・サービスの脆弱性により、任意のコードが実行される危険性 |
(ライセンス ログ サービスの脆弱性により、コードが実行される) |
緊急対応度:適用作業の至急開始
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危険性 |
脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。 |
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Windows NT Server 4.0/2000 Server/Server 2003のライセンス・ログ・サービスに未チェック・バッファの脆弱性があり、サービス拒否やリモートでコードが実行される危険性がある。最悪の場合、プログラムのインストール、データの表示/変更/削除、完全な特権を持つ新しいアカウントの作成など、攻撃者によってコンピュータの制御が完全に奪われてしまう。Windows
Serverがインターネットに公開されている場合、リモートによる攻撃が可能である。そのため、この脆弱性を悪用したワームなどの登場が懸念される。
MS05-010の脆弱性は、ライセンス・ログ・サービスが実行されている場合に影響を受ける。ライセンス・ログ・サービスは、Windows NT Server
4.0、Windows NT Server 4.0 Terminal Server Edition、Windows 2000 Serverにインストールされており、デフォルトで実行される。Windows
Server 2003では、インストールされているもののデフォルトでは実行されないため、明示的に設定を変更していない限り、脆弱性の影響は受けない。またSmall
Business Server 2000/2003でも、ライセンス・ログ・サービスが実行されているが、サービスが使用する通信ポートはデフォルトでインターネットからブロックされており、ライセンス・ログ・サービスが利用可能なのはローカル・ネットワークのみとなっている(内部に侵入されたワームによって攻撃が実行される危険性は残る)。
マイクロソフトによれば、MS05-010の脆弱性は非公開で報告されたとしており、実証コードや攻撃例は確認されていないという。ただし、最近では脆弱性が公開されると、1カ月程度で実証コードや悪用した攻撃が現れるので注意が必要だ。ワームなどへの悪用が行われる前に、修正プログラムを適用しておきたい。
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概要
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ライセンス・ログ・サービスは、サーバ・クライアント・アクセス・ライセンス(CAL)モデルに基づいて、マイクロソフトのサーバ製品のライセンス管理を行うために開発されたものである。このライセンス・ログ・サービスが割り当てられたバッファにメッセージを渡す際の処理に未チェック・バッファが存在する。特別な細工をしたネットワーク・メッセージを受信すると、バッファ・オーバーフローが発生し、任意のコードが実行される危険性がある。
Small Business Server 2000/2003以外では、ライセンス・ログ・サービスを無効にすることで脆弱性を回避できる。なおSmall
Business Server 2000/2003では、ライセンス・ログ・サービスを無効にすると、システムが正しく機能しなくなる場合があるので注意が必要だ。
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対象プラットフォーム
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影響を受けるソフトウェア |
対象プラットフォーム |
Windows NT Server 4.0 |
Windows NT Server 4.0 SP6a |
Windows NT Server 4.0 Terminal Server Edition |
Windows NT Server 4.0 Terminal Server Edition, SP6 |
Windows 2000 Server |
Windows 2000 Server SP3/SP4 |
Windows Server 2003 |
Windows Server 2003 |
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‥‥‥ DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント
‥‥‥
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■適用テストの結果
DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。
プラットフォーム
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適用テスト結果
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Windows NT Server 4.0 SP6a |
○
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Windows NT Server 4.0, Enterprise Edition SP6a |
○
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Windows 2000 Server SP4 |
○
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Windows 2000 Advanced Server SP3 |
○
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Windows Server 2003, Standard Edition |
○
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Windows Server 2003, Enterprise Edition |
○
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■Windows 2000 Server SP2向け修正プログラムは提供されない
Windows 2000 SP2は2004年6月30日にサポート・ライフサイクルが終了したため、MS05-010の修正プログラムは提供されない。Windows
2000 Server SP2はSP3またはSP4を適用してから対応する修正プログラムを適用する。
■Windows NT Server 4.0/Terminal Server Edition SP6向けの修正プログラムは提供
Windows NT Server 4.0とWindows NT 4.0 Server Terminal Server Edition SP6は、2004年12月31日でサポート・ライフサイクルが終了しているが、マイクロソフトによれば、「この脆弱性による危険性が高い」ため今回は提供を行ったとしている。しかしこうした例外はいつまで続くか分からないので、やはりOS自体のバージョンアップを検討すべきだ。なお、Windows
NT Server 4.0とWindows NT 4.0 Server Terminal Server Edition SP6向けの修正プログラムはダウンロード・センターでのみ提供される。
■Windows Server 2003はサービス拒否が起きる可能性が高い
MS05-010の脆弱性は、リモートでコードが実行される危険性がある。ただしマイクロソフトによれば、Windows Server 2003では、細工されたメッセージを受信しても、サービス拒否の発生にとどまる可能性が高いとしている。ライセンス・ログ・サービスが異常終了した場合、Windows
Server 2003では自動的にサービスを再起動する。ただし自動再起動は3回までで、4回目に異常終了すると手動で再起動しないとライセンス・ログ・サービスは復帰しなくなる。これにより、ライセンス・ログ・サービスはすべてのリクエストに応答しなくなる。なお手動で再起動を行えば、ライセンス・ログ・サービスは復帰するが、脆弱性が残ったままの場合、再び攻撃によってサービス拒否が起きる危険性がある。
■MBSA 1.21の結果
MS05-010の修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 1.21で確認可能だ。未適用の場合は、「Windowsのセキュリティの更新」の「結果の詳細情報」に、「ライセンス
ログ サービスの脆弱性により、コードが実行される (885834)」が表示される。
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プラットフォーム |
ダウンロード・センター |
Windows Update/Office Update/SUSの表示 |
Windows NT Server 4.0 SP6a |
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− |
Windows NT Server 4.0 Terminal Server Edition, SP6 |
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− |
Windows 2000 Server SP3/SP4 |
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Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB885834) |
Windows Server 2003 |
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Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB885834) |
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以下のファイルにパッチが適用される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
Windows NT Server 4.0 SP6a:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsNT4Server-KB885834-x86-JPN.exe |
2005/01/19 |
5.4.15.0 |
133,624
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%SystemRoot%\system32\ |
llssrv.exe |
2005/01/17 |
4.0.1381.7346 |
143,920
|
Microsoft License Server |
Windows NT Server 4.0 Terminal Server Edition, SP6:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsNT4TerminalServer-KB885834-x86-JPN.exe |
2005/01/19 |
5.4.15.0 |
133,904
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%SystemRoot%\system32\ |
llssrv.exe |
2005/01/17 |
4.0.1381.39840 |
143,920
|
Microsoft License Server |
Windows 2000 Server SP3/SP4:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows2000-KB885834-x86-JPN.EXE |
2005/01/18 |
1.0.0.0 |
1,102,328
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%SystemRoot%\system32\ |
llsrpc.dll |
2003/06/19 |
5.0.2195.6601 |
48,912
|
License Logging Service RPC Interface |
llssrv.exe |
2005/01/13 |
5.0.2195.7021 |
85,264
|
Microsoft License Server |
ole32.dll |
2005/01/17 |
5.0.2195.7021 |
957,200
|
Microsoft OLE for Windows |
rpcrt4.dll |
2004/03/11 |
5.0.2195.6904 |
449,808
|
Remote Procedure Call Runtime |
rpcss.dll |
2005/01/17 |
5.0.2195.7021 |
212,240
|
Distributed COM Services |
*薄紫色のファイルは、MS05-012と同じもの
Windows Server 2003:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsServer2003-KB885834-x86-jpn.exe |
2005/01/14 |
1.0.0.0 |
376,048
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(RTMGDR/RTMQFE)
|
%SystemRoot%\system32\ |
llssrv.exe |
2005/01/13 |
5.2.3790.248 |
88,576
|
Microsoft License Server |
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修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、以下のレジストリ・キーにある値を調べることで確認できる。
・Windows NT Server 4.0 SP6a/Terminal Server Edition SP6:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Hotfix\KB885834の値「Installed」のデータが「1」であること
・Windows 2000 Server SP3/SP4:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows 2000\SP5\KB885834\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows Server 2003:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows Server 2003\SP1\KB885834\Filelist以下のファイル一覧を確認する
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予想適用時間
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修正プログラム名 |
50台 |
100台 |
250台 |
500台 |
WindowsNT4Server-KB885834-x86-JPN.exe
(Windows NT Server 4.0 SP6a) |
24分 |
33分 |
58分 |
1時間40分 |
Windows2000-KB885834-x86-JPN.EXE
(Windows 2000 Server SP3/SP4) |
24分 |
33分 |
58分 |
1時間41分 |
WindowsServer2003-KB885834-x86-jpn.exe
(Windows Server 2003) |
24分 |
33分 |
58分 |
1時間40分 |
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。
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UpdateEXPERT上の表示
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・Windows NT Server 4.0 SP6a:
UpdateEXPERT 5.1:[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:NT4SVR-KB885834-x86-JPN.exe」で登録
UpdateEXPERT 6.1:[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:WindowsNT4Server-KB885834-x86-JPN.exe」で登録
・Windows NT Server 4.0 Terminal Server Edition SP6:
UpdateEXPERT 5.1/6.1:サポート対象外
・Windows 2000 Server SP3/SP4:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:Windows2000-KB885834-x86-JPN.EXE」で登録
・Windows Server 2003:
UpdateEXPERT 5.1:サポート対象外
UpdateEXPERT 6.1:[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:WindowsServer2003-KB885834-x86-jpn.exe」で登録
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