MS05-032/890046 |
Microsoftエージェントの脆弱性により、インターネット・コンテンツの詐称が行われる危険性 |
(Microsoft エージェントの脆弱性により、なりすましが行われる) |
緊急対応度:適用作業の早期開始
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危険性 |
脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。 |
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Microsoftエージェントがキャラクターを参照する方法に起因する脆弱性が存在し、インターネット・コンテンツが詐称される危険性がある。この脆弱性が悪用されると、ユーザーが閲覧していると認識しているWebサイトを、攻撃者が用意した偽のWebサイトに詐称することができる。フィッシング詐欺などに悪用される危険性がある。
攻撃は、ほかのWebサイトやHTML形式のメールに配置したWebサイトへのリンクをユーザーにクリックさせて誘導することで実行される。この際、ユーザーに通知されるべきセキュリティ警告が、Microsoftエージェントのキャラクターによって偽装されて、ユーザーが無意識のうちに悪質なプログラムをインストールしてしまう危険もある。
マイクロソフトによれば、MS05-032の脆弱性は非公開で報告されたとしており、実証コードや攻撃例は確認されていないという。現在のところ、MS005-032の脆弱性に対する詳細なレポートも公開されていない。攻撃に悪用されるには比較的時間がかかると思われる。ただし、攻撃手法が明らかになった場合、スパイウェアやアドウェアのインストールへの悪用が懸念される脆弱性である。なるべく早期に修正プログラムを適用しておいた方がよい。
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概要
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Microsoftエージェントとは、アニメーションするキャラクターを使ったユーザーとのインタラクティブなユーザー・インターフェイスを提供するソフトウェア技術である。Speech
API(Text-to-Speech Engine)と組み合わせることで、音声合成でキャラクターに話させることもできる。HTMLにVB Scriptを記述することで、エージェントを利用することも可能だ(ただし、ユーザー環境によっては利用できない場合がある)。
Internet ExplorerなどでMicrosoftエージェントのキャラクターを参照する際に、キャラクターのインストール元を確認しない脆弱性が存在する。そのため、インストール元のキャラクター・データなどを細工することで、脆弱性が悪用できる。最悪の場合、Microsoftエージェントのキャラクターの偽装により、無意識にプログラムがインストールされる危険性がある。
修正プログラムを適用することで、Microsoftエージェントのキャラクターがインストールされる前に確認メッセージが表示されるようになる。ただし、キャラクターのインストール元がInternet
Explorerの「信頼済みサイト」に登録されている場合は、確認メッセージは表示されない。
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対象プラットフォーム
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影響を受けるソフトウェア |
対象プラットフォーム |
Windows 2000 |
Windows 2000 SP3/SP4 |
Windows XP |
Windows XP SP1/SP1a/SP2 |
Windows Server 2003 |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1 |
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‥‥‥ DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント
‥‥‥
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■適用テストの結果
DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。
プラットフォーム
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適用テスト結果
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Windows 2000 Professional SP3 |
○
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Windows 2000 Professional SP4 |
○
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Windows 2000 Server SP3 |
○
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Windows 2000 Server SP4 |
○
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Windows 2000 Advanced Server SP3 |
○
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Windows 2000 Advanced Server SP4 |
○
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Windows XP Professional SP1 |
○
|
Windows XP Professional SP1a |
○
|
Windows XP Professional SP2 |
○
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Windows Server 2003, Standard Edition SP未適用 |
○
|
Windows Server 2003, Enterprise Edition SP未適用 |
○
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Windows Server 2003, Standard Edition SP1 |
○
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Windows Server 2003, Enterprise Edition SP1 |
○
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■MicrosoftエージェントのActiveXコントロール バージョン1.5は廃止される
MS05-032の修正プログラムを適用すると、MicrosoftエージェントのActiveXコントロールのバージョン1.5に対して新たにkillbit(HTMLレンダリング・エンジンにより、ActiveXコントロールが読み込まれないようにするInternet
Explorerのセキュリティ機能)が設定され、利用できなくなる。これにより、バージョン1.5を利用するMicrosoftエージェントのコンテンツが正常に閲覧できなくなる可能性がある。
■Windows 98/98SE/Meにも脆弱性あり
TechNetセキュリティ情報によれば、Windows 98/98SE/MeにもMS05-032の脆弱性が存在する。ただしマイクロソフトはこれらを「緊急ではない」と判断しており、修正プログラムの提供は行われない。信頼できないWebサイトは訪問しないなど、運用による脆弱性の回避が必要となる。
■MBSA 1.21の結果
MS05-032の修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 1.21で確認可能だ。未適用の場合は、「Windowsのセキュリティの更新」の「結果の詳細情報」に、「Microsoft
エージェントの脆弱性により、なりすましが行われる (890046)」が表示される。
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プラットフォーム |
ダウンロード・センター |
Windows Update/SUS/WSUSの表示 |
Windows 2000 SP3/SP4 |
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Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム(KB890046) |
Windows XP SP1/SP1a/SP2 |
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Windows XP 用セキュリティ更新プログラム(KB890046) |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1 |
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Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム(KB890046) |
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以下のファイルが修正プログラムによって更新される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
Windows 2000 SP3/SP4:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows2000-KB890046-x86-JPN.EXE |
2005/05/18 |
1.0.0.0 |
577,016
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%SystemRoot%\msagent\ |
agentdpv.dll |
2005/05/17 |
2.0.0.3423 |
53,008
|
Microsoft Agent Data Provider |
|
%SystemRoot%\system32\ |
sp3res.dll |
2005/04/21 |
5.0.2195.7040 |
494,592
|
Service Pack 3 Messages |
Windows XP SP1/SP1a/SP2:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsXP-KB890046-x86-JPN.exe |
2005/05/18 |
1.0.0.0 |
527,088
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(sp1qfe) |
%SystemRoot%\msagent\ |
agentdpv.dll |
2005/04/22 |
2.0.0.3423 |
51,712
|
Microsoft Agent Data Provider |
|
%SystemRoot%\system32\ |
spru0411.dll
|
2005/05/16 |
5.1.2600.1688 |
11,776
|
Service Pack 3 Messages |
展開フォルダ
(sp2gdr) |
%SystemRoot%\msagent\ |
agentdpv.dll |
2005/04/22 |
2.0.0.3423 |
57,344
|
Microsoft Agent Data Provider |
|
%SystemRoot%\system32\ |
spru0411.dll
|
2005/05/16 |
5.1.2600.2678 |
25,600
|
Service Pack 3 Messages |
展開フォルダ
(sp2qfe) |
%SystemRoot%\msagent\ |
agentdpv.dll |
2005/04/22 |
2.0.0.3423 |
57,344
|
Microsoft Agent Data Provider |
|
%SystemRoot%\system32\ |
spru0411.dll
|
2005/05/16 |
5.1.2600.2678 |
31,232
|
Service Pack 3 Messages |
*spru0411.dllは、xpsp3res.dllにファイル名が変更されて適用される。
Windows Server 2003 SP未適用/SP1:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsServer2003-KB890046-x86-jpn.exe |
2005/05/19 |
1.0.0.0 |
528,624
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(rtmgdr) |
%SystemRoot%\msagent\ |
agentdpv.dll |
2005/05/12 |
2.0.0.3423 |
54,272
|
Microsoft Agent Data Provider |
|
%SystemRoot%\system32\ |
spru0411.dll
|
2005/05/18 |
5.2.3790.332 |
2,560
|
Service Pack Messages |
展開フォルダ
(rtmqfe) |
%SystemRoot%\msagent\ |
agentdpv.dll |
2005/05/12 |
2.0.0.3423 |
54,272
|
Microsoft Agent Data Provider |
|
%SystemRoot%\system32\ |
spru0411.dll
|
2005/05/18 |
5.2.3790.332 |
49,152
|
Service Pack Messages |
展開フォルダ
(sp1gdr/sp1qfe) |
%SystemRoot%\msagent\ |
agentdpv.dll |
2005/05/12 |
5.2.3790.1241 |
58,880
|
Microsoft Agent Data Provider |
|
%SystemRoot%\system32\ |
w03s2411.dll
|
2005/05/18 |
5.2.3790.2446 |
4,608
|
Service Pack Messages |
*spru0411.dllはws03res.dllに、w03s2411.dllはws03a2409.dllにそれぞれファイル名が変更されて適用される。
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修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、以下のレジストリ・キーにある値を調べることで確認できる。
・Windows 2000 SP3/SP4:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows 2000\SP5\KB890046\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows XP SP1/SP1a/SP2:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows XP\SP3\KB890046\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows Server 2003 SP未適用/SP1:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows Server 2003\SP2\KB890046\Filelist以下のファイル一覧を確認する
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予想適用時間
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修正プログラム名 |
50台 |
100台 |
250台 |
500台 |
Windows2000-KB890046-x86-JPN.EXE
(Windows 2000 SP3/SP4) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
WindowsXP-KB890046-x86-JPN.exe
(Windows XP SP1/SP1a/SP2) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
WindowsServer2003-KB890046-x86-jpn.exe
(Windows Server 2003 SP未適用/SP1) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。
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UpdateEXPERT上の表示
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・Windows 2000 SP3/SP4:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:Windows2000-KB890046-x86-JPN.EXE」で登録
・Windows XP SP1/SP1a/SP2:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:WindowsXP-KB890046-x86-JPN.exe」で登録
・Windows Server 2003 SP未適用/SP1:
UpdateEXPERT 5.1:サポート対象外
UpdateEXPERT 6.1:[展開ビュー]−[OS]タブに「WindowsServer2003-KB890046-x86-jpn.exe」で登録
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