MS05-036/901214 |
Windows OSにおけるカラー管理モジュールの未チェック・バッファの脆弱性により、リモートで任意のコードが実行される危険性 |
(マイクロソフト カラー管理モジュールの脆弱性によりリモートでコードが実行される) |
緊急対応度:適用作業の至急開始
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危険性 |
脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。 |
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Windows OSがICC(The International Color Consortium)プロファイルのタグの検証処理を行う過程に未チェック・バッファの脆弱性が存在し、リモートで任意のコードが実行される危険性がある。攻撃は、WebページやHTML形式の電子メールなどに細工した画像を配置し、それをユーザーに表示させるように誘導することで行われる。画像を開くと攻撃が実行され、コンピュータの制御が完全に奪われる危険がある。画像掲示板やオンライン写真サービスなどに細工した画像を公開することで、攻撃が実行される懸念のある脆弱性だ。また電子メール型ワームに悪用される可能性もある。
マイクロソフトによれば、MS05-036の脆弱性は非公開で報告されたとする一方で、この脆弱性が悪用されたという報告を受けているとしている。すでに悪用が開始されている脆弱性であることから、至急、修正プログラムの適用を開始した方がよい。
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概要
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Windows OSなどでは、ICCプロファイルと呼ぶ、スキャナやプリンタ、ディスプレイなどのデバイスに依存する色再現特性やカラー・スペース(色域)などの特性を記述したファイルをサポートしている。このファイルを読み込むことで色再現をコントロールする仕組みを提供している(これにより、デバイスごとに異なるカラー・スペースをなるべく見た目の色が変わらないように変換することができる)。ICCプロファイルは、タグの集合体として記述されており、画像ファイルにもカラー・スペースの情報として埋め込むことが可能だ。
今回報告された脆弱性は、ICCプロファイルのタグを検証するWindows OSのカラー管理モジュールの処理過程に未チェック・バッファが存在する、というものだ。細工されたICCプロファイルをカラー管理モジュールが読み込むと、バッファ・オーバーフローが発生し、任意のコードが実行される危険性がある。前述のようにICCプロファイルは画像ファイルに埋め込むことが可能であるため、細工された画像ファイルを開くだけで攻撃が実行される。細工された画像が画像掲示板などに投稿された場合、気を付けていても攻撃を受ける可能性がある。非常に危険性の高い脆弱性といえる。
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対象プラットフォーム
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影響を受けるソフトウェア |
対象プラットフォーム |
Windows 2000 |
Windows 2000 SP4 |
Windows XP |
Windows XP SP1/SP1a/SP2 |
Windows Server 2003 |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1 |
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‥‥‥ DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント
‥‥‥
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■適用テストの結果
DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。
プラットフォーム
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適用テスト結果
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Windows 2000 Professional SP4 |
○
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Windows 2000 Server SP4 |
○
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Windows 2000 Advanced Server SP4 |
○
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Windows XP Professional SP1 |
○
|
Windows XP Professional SP1a |
○
|
Windows XP Professional SP2 |
○
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Windows Server 2003, Standard Edition SP未適用 |
○
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Windows Server 2003, Enterprise Edition SP未適用 |
○
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Windows Server 2003, Standard Edition SP1 |
○
|
Windows Server 2003, Enterprise Edition SP1 |
○
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■Windows 2000 SP3向けの修正プログラムは提供されない
Windows 2000 SP3は2005年6月30日にサポート・ライフサイクルが終了したため、MS05-036の修正プログラムは提供されない。Windows
2000 SP4を適用してから、MS05-036の修正プログラムを適用する必要がある。
■Windows 98/98SE/Meにも脆弱性あり
TechNetセキュリティ情報によれば、Windows 98/98SE/MeにもMS05-036の脆弱性が存在する。ただしマイクロソフトはこれらを「緊急ではない」と判断しており、修正プログラムの提供は行われない。信頼できないWebサイトは訪問しないなど、運用による脆弱性の回避が必要となる。
■MBSA 2.0の結果
MS05-036の修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.0で確認可能だ。未適用の場合は、「Windowsのセキュリティの更新プログラム」の「結果の詳細情報」に、「MS05-036
Windows {2000/XP/Server 2003} 用セキュリティ更新プログラム (KB901214) 」が表示される。なおMBSA 1.21では、「Windowsのセキュリティの更新」に「マイクロソフト
カラー管理モジュールの脆弱性によりリモートでコードが実行される (901214)」が表示される。
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プラットフォーム |
ダウンロード・センター |
Windows Update/SUS/WSUSの表示 |
Windows 2000 SP4 |
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Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB901214) |
Windows XP SP1/SP1a/SP2 |
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Windows XP 用セキュリティ更新プログラム (KB896358) |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1 |
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Windows 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB901214) |
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以下のファイルが修正プログラムによって更新される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
Windows 2000 SP4:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows2000-KB901214-x86-JPN.EXE |
2005/06/29 |
1.0.0.0 |
582,648
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
|
%SystemRoot%\system32\ |
icm32.dll |
2005/06/29 |
5.0.0.3 |
246,032
|
Color Management Module (CMM) |
mscms.dll |
2005/06/29 |
5.0.2195.7054 |
69,904
|
Microsoft Color Matching System DLL |
Windows XP SP1/SP1a/SP2:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsXP-KB901214-x86-JPN.exe |
2005/06/29 |
1.0.0.0 |
627,952
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(sp1qfe) |
%SystemRoot%\system32\ |
icm32.dll |
2005/06/29 |
5.1.2600.1710 |
237,056
|
Color Management Module (CMM) |
mscms.dll |
2005/06/29 |
5.1.2600.1710 |
68,608
|
Microsoft Color Matching System DLL |
展開フォルダ
(sp2gdr)
|
%SystemRoot%\system32\ |
icm32.dll |
2005/06/29 |
5.1.2600.2709 |
254,976
|
Color Management Module (CMM) |
mscms.dll |
2005/06/29 |
5.1.2600.2709 |
74,240
|
Microsoft Color Matching System DLL |
展開フォルダ
(sp2qfe)
|
%SystemRoot%\system32\ |
icm32.dll |
2005/06/29 |
5.1.2600.2709 |
254,976
|
Color Management Module (CMM) |
mscms.dll |
2005/06/29 |
5.1.2600.2709 |
73,728
|
Microsoft Color Matching System DLL |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsServer2003-KB901214-x86-JPN.exe |
2005/06/29 |
1.0.0.0 |
627,952
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(rtmgdr/rtmqfe)
|
%SystemRoot%\system32\ |
icm32.dll |
2005/06/29 |
5.2.3790.359 |
239,616
|
Color Management Module (CMM) |
mscms.dll |
2005/06/29 |
5.2.3790.359 |
70,656
|
Microsoft Color Matching System DLL |
展開フォルダ
(sp1gdr/rtmqfe)
|
%SystemRoot%\system32\ |
icm32.dll |
2005/06/29 |
5.2.3790.2476 |
255,488
|
Color Management Module (CMM) |
mscms.dll |
2005/06/29 |
5.2.3790.2476 |
75,264
|
Microsoft Color Matching System DLL |
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修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、以下のレジストリ・キーにある値を調べることで確認できる。
・Windows 2000 SP4:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows 2000\SP5\KB901214\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows XP SP1/SP1a/SP2:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows XP\SP3\KB901214\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows Server 2003 SP未適用/SP1:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows Server 2003\SP2\KB901214\Filelist以下のファイル一覧を確認する
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予想適用時間
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修正プログラム名 |
50台 |
100台 |
250台 |
500台 |
Windows2000-KB901214-x86-JPN.EXE
(Windows 2000 SP4) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
WindowsXP-KB901214-x86-JPN.exe
(Windows XP SP1/SP1a/SP2) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
WindowsServer2003-KB901214-x86-JPN.exe
(Windows Server 2003) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。
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UpdateEXPERT上の表示
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・Windows 2000 SP4:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:Windows2000-KB901214-x86-JPN.EXE」で登録
・Windows XP SP1/SP1a/SP2:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:WindowsXP-KB901214-x86-JPN.exe」で登録
・Windows Server 2003 SP未適用/SP1:
UpdateEXPERT 5.1:サポート対象外
UpdateEXPERT 6.1:[展開ビュー]−[OS]タブに「WindowsServer2003-KB901214-x86-JPN.exe」で登録
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