MS06-036/914388 |
DHCPクライアント・サービスの未チェック・バッファの脆弱性により、リモートで任意のコードが実行される危険性 |
(DHCP クライアント サービスの脆弱性により、リモートでコードが実行される) |
対応の緊急性:至急適用 [攻撃コード未公開][攻撃事例なし]
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危険性 |
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脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。 |
可能性のある攻撃
攻撃手法
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脆弱性の影響
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リモート攻撃 |
ウイルス/ワーム |
電子メール添付 |
Webサイトへの誘導 |
コードの実行 |
権限の昇格 |
情報の漏えい |
サービス拒否 |
なりすまし |
○
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○
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|
|
○
|
○
|
○
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DHCPクライアント・サービスに未チェック・バッファの脆弱性が存在し、リモートで任意のコードが実行される危険性がある。攻撃は、DHCPリクエストに対して、細工されたDHCPの応答が返信されることで実行される。また対話的にログインした後、細工したメッセージをコンピュータ上のDHCPクライアント・サービスに渡すことで、特権を昇格させられる危険性もある。
基本的に攻撃が可能なのは、ネットワークの同一セグメント内にあるコンピュータからのみだが、直接インターネットに接続しているコンピュータでは、インターネットから攻撃を受ける可能性もある。また、社内のコンピュータがこの脆弱性を悪用するようなウイルスやワームに感染した場合、同一セグメント内にある別のコンピュータすべてが攻撃対象となってしまうので危険性が高い。DHCPを利用せず、静的なIPアドレスを利用している場合は、脆弱性が悪用される危険性は低いが、IPアドレス割当が簡易に実行できることから、DHCPを利用しているケースは多いだろう。
マイクロソフトによれば、MS06-036の脆弱性は非公開で報告されたとしており、攻撃例は確認されていないという。しかしひとたびこの脆弱性がウイルスやワームに悪用された場合、短期間で急速に被害が広がる懸念がある。至急、修正プログラムを適用した方がよい。
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脆弱性の内容
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DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol:動的ホスト構成プロトコル)とは、クライアントに必要な各種IPアドレスなどを動的に割り当てることで、アドレス管理を容易にするインターネット・プロトコルの標準機能である。DHCPは、IPアドレスのリクエストを行うDHCPクライアント・サービスと、クライアントからのリクエストに応答してIPアドレスを割り当てるDHCPサーバによって構成される。
このDHCPクライアント・サービスにおいて、DHCPリクエストに対する応答を処理する過程に未チェック・バッファが存在する。そのため、DHCPリクエストに対する細工された応答をDHCPクライアント・サービスが受信すると、ユーザーの操作なしに任意のコードが実行されてしまう。細工された応答は匿名で送信可能である。
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対象プラットフォーム
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影響を受けるソフトウェア |
対象プラットフォーム |
Windows 2000 |
Windows 2000 SP4 |
Windows XP |
Windows XP SP1/SP1a/SP2 |
Windows Server 2003 |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1 |
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‥‥‥ DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント
‥‥‥
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■適用テストの結果
DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。
プラットフォーム
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適用テスト結果
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Windows 2000 Professional SP4 |
○
|
Windows 2000 Server SP4 |
○
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Windows 2000 Advanced Server SP4 |
○
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Windows XP Professional SP1 |
○
|
Windows XP Professional SP1a |
○
|
Windows XP Professional SP2 |
○
|
Windows Server 2003, Standard Edition SP未適用 |
○
|
Windows Server 2003, Enterprise Edition SP未適用 |
○
|
Windows Server 2003, Standard Edition SP1 |
○
|
Windows Server 2003, Enterprise Edition SP1 |
○
|
Windows Server 2003 R2, Enterprise Edition |
○
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■MBSA 2.0の結果
MS06-035の修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.0で確認可能である。未適用の場合は、「Windowsのセキュリティの更新プログラム」の「結果の詳細情報」に以下のいずれかが表示される。
- Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB914388)
- Windows XP 用セキュリティ更新プログラム (KB914388)
- Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB914388)
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プラットフォーム |
ダウンロード・センター |
WU/MU/SUS/WSUSの表示 |
Windows 2000 SP4 |
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Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB914388) |
Windows XP SP1/SP1a/SP2 |
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Windows XP 用セキュリティ更新プログラム (KB914388) |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1 |
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Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB914388) |
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以下のファイルにパッチが適用される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
Windows 2000 SP4:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows2000-KB914388-x86-JPN.EXE |
2006/05/19 |
1.0.0.0 |
620,008
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%SystemRoot%\system32\ |
dhcpcsvc.dll |
2006/05/19 |
5.0.2195.7085 |
89,872
|
DHCP Client Service |
dnsapi.dll |
2006/05/19 |
5.0.2195.7085 |
136,976
|
DNS Client API DLL |
iphlpapi.dll |
2006/05/19 |
5.0.2195.7097 |
68,368
|
IP Helper API |
Windows XP SP1/SP1a/SP2:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsXP-KB914388-x86-JPN.exe |
2006/05/20 |
1.0.0.0 |
1,024,824
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(SP1QFE) |
%SystemRoot%\system32\ |
6to4svc.dll |
2006/05/19 |
5.1.2600.1847 |
95,232
|
Service that offers IPv6 connectivity over an IPv4 network |
dhcpcsvc.dll |
2006/05/19 |
5.1.2600.1847 |
101,888
|
DHCP Client Service |
dnsapi.dll |
2006/05/19 |
5.1.2600.1847 |
140,288
|
DNS Client API DLL |
inetmib1.dll |
2006/05/19 |
5.1.2600.1847 |
31,232
|
Microsoft MIB-II subagent |
iphlpapi.dll |
2006/05/19 |
5.1.2600.1847 |
83,456
|
IP Helper API |
ipv6.exe |
2006/05/19 |
5.1.2600.1847 |
48,640
|
IPv6 Configuration Utility |
ipv6mon.dll |
2006/05/19 |
5.1.2600.1847 |
54,272
|
IPv6 Monitor DLL |
netsh.exe |
2006/05/19 |
5.1.2600.1847 |
93,696
|
Network Command Shell |
obrs0411.dll* |
2006/05/19 |
5.1.2600.1847 |
145,408
|
Service Pack 2 OOB Messages |
ws2_32.dll |
2006/05/19 |
5.1.2600.1847 |
70,656
|
Windows Socket 2.0 32-Bit DLL |
wship6.dll |
2006/05/19 |
5.1.2600.1847 |
13,312
|
IPv6 Helper DLL |
|
%SystemRoot%\system32\drivers\ |
tcpip6.sys |
2006/05/19 |
5.1.2600.1847 |
203,008
|
IPv6 driver |
tunmp.sys |
2006/05/19 |
5.1.2600.1847 |
11,776
|
Microsoft Tunnel Interface Driver |
|
%SystemRoot%\INF\ |
netip6.inf |
2006/05/19 |
− |
11,854
|
INFファイル |
展開フォルダ
(SP2GDR)
|
%SystemRoot%\system32\ |
dhcpcsvc.dll |
2006/05/19 |
5.1.2600.2912 |
109,568
|
DHCP Client Service |
dnsapi.dll |
2006/05/19 |
5.1.2600.2912 |
148,480
|
DNS Client API DLL |
iphlpapi.dll |
2006/05/19 |
5.1.2600.2912 |
94,720
|
IP Helper API |
展開フォルダ
(SP2QFE)
|
%SystemRoot%\system32\ |
dhcpcsvc.dll |
2006/05/19 |
5.1.2600.2912 |
110,080
|
DHCP Client Service |
dnsapi.dll |
2006/05/19 |
5.1.2600.2912 |
147,456
|
DNS Client API DLL |
iphlpapi.dll |
2006/05/19 |
5.1.2600.2912 |
94,720
|
IP Helper API |
*obrs0411.dllは、ファイル名が「xpob2res.dll」に変更されてコピーされる。
Windows Server 2003 SP未適用/SP1:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsServer2003-KB914388-x86-JPN.exe |
2006/05/19 |
1.0.0.0 |
648,504
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(RTMGDR)
|
%SystemRoot%\system32\ |
dhcpcsvc.dll |
2006/05/19 |
5.2.3790.536 |
102,400
|
DHCP Client Service |
iphlpapi.dll |
2006/05/19 |
5.2.3790.536 |
84,992
|
IP Helper API |
展開フォルダ
(RTMQFE)
|
%SystemRoot%\system32\ |
dhcpcsvc.dll |
2006/05/19 |
5.2.3790.536 |
102,400
|
DHCP Client Service |
iphlpapi.dll |
2006/05/19 |
5.2.3790.536 |
85,504
|
IP Helper API |
展開フォルダ
(SP1GDR/
SP1QFE)
|
%SystemRoot%\system32\ |
dhcpcsvc.dll |
2006/05/19 |
5.2.3790.2706 |
115,200
|
DHCP Client Service |
iphlpapi.dll |
2006/05/19 |
5.2.3790.2706 |
95,232
|
IP Helper API |
|
|
|
修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、以下のレジストリ・キーにある値を調べることで確認できる。
・Windows 2000 SP4:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows 2000\SP5\KB914388\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows XP SP1/SP1a/SP2:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows XP\SP3\KB914388\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows Server 2003 SP未適用/SP1:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows Server 2003\SP2\KB914388\Filelist以下のファイル一覧を確認する
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予想適用時間
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修正プログラム名 |
50台 |
100台 |
250台 |
500台 |
Windows2000-KB914388-x86-JPN.EXE
(Windows 2000 SP4) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
WindowsXP-KB914388-x86-JPN.exe
(Windows XP SP1/SP1a/SP2) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間35分 |
WindowsServer2003-KB914388-x86-JPN.exe
(Windows Server 2003 SP未適用/SP1) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。
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UpdateEXPERT上の表示
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・Windows 2000 SP4:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:Windows2000-KB914388-x86-JPN.EXE」で登録
・Windows XP SP1/SP1a/SP2:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:WindowsXP-KB914388-x86-JPN.exe」で登録
・Windows Server 2003 SP未適用/SP1:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:WindowsServer2003-KB914388-x86-JPN.exe」で登録
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