MS06-047/921645 |
VBAの未チェック・バッファの脆弱性により、リモートで任意のコードが実行される危険性 |
(Microsoft Visual Basic for Applications (VBA) の脆弱性により、リモートでコードが実行される) |
対応の緊急性:至急適用 [攻撃コード未公開][攻撃事例あり]
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危険性 |
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脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。 |
可能性のある攻撃
攻撃手法
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脆弱性の影響
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リモート攻撃 |
ウイルス/ワーム |
電子メール添付 |
Webサイトへの誘導 |
コードの実行 |
権限の昇格 |
情報の漏えい |
サービス拒否 |
なりすまし |
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○
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○
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○
|
○
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Visual Basic for Applications(VBA)が文書を開く過程に未チェック・バッファの脆弱性が存在し、細工されたOffice文書を表示すると、文書内に仕込まれたコードが実行される危険性がある。Wordの文書、Excelのスプレッドシート、PowerPointのプレゼンテーションなど、VBAをサポートするすべてのOffice文書が攻撃に悪用される可能性があるので注意が必要だ。
この脆弱性を悪用した典型的な攻撃法は、Webページ上の細工したOfficeファイルへのリンクをクリックするように誘導することだ。Internet Explorer(IE)では、Office文書をインライン(IEのウィンドウ内部)で開くため、Officeを明示的に使っていなくても、IEによるWebページのブラジング作業中に攻撃が実行される可能性もあるので注意が必要だ。この際Office
2000では、ダイアログなどが表示されず、ユーザーの操作なしに起動してしまうので、特に危険性が高い(Office XP以降では、ダイアログが表示される)。
またWordをOutlookのHTML形式の電子メール・エディタとして利用している場合は、細工された電子メールを受信し、これに返信または転送しようと編集画面を表示した時点で、脆弱性が悪用される危険性がある。
MS06-047の脆弱性については、すでに攻撃例が報告されている。今後、さらに攻撃が広がることが懸念される。至急、修正プログラムを適用した方がよい。なお、Office
2003は脆弱性の影響を受けない。
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脆弱性の内容
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VBAが、Office文書を開くときに、ホスト・アプリケーション(WordやExcelなど)から渡される文書のプロパティを正しくチェックしない脆弱性が存在する。ホスト・アプリケーションからVBAに渡されるパラメータをVBAが検証しないことから、バッファ・オーバーランが起こり、任意のコードが実行されてしまう。
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対象プラットフォーム
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影響を受けるソフトウェア |
対象プラットフォーム |
Office 2000 |
Office 2000 SP3 |
Access 2000 Runtime |
Access 2000 Runtime SP3 |
Project 2000 |
Project 2000 SR1 |
Office XP |
Office XP SP3 |
Project 2002 |
Project 2002 SP1 |
Visio 2002 |
Visio 2002 SP2 |
VBA |
VBA 6.0/6.2/6.3/6.4 |
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‥‥‥ DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント
‥‥‥
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■適用テストの結果
DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。
プラットフォーム
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適用テスト結果
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Windows 2000 Professional SP4+Office 2000 Professional SP3 |
○
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Windows 2000 Professional SP4+Office XP Personal SP3 |
○
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Windows 2000 Server SP4+Office 2000 Standard SP3 |
○
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Windows 2000 Server SP4+Office XP Professional SP3 |
○
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Windows XP Professional SP1a+Office XP Standard Enterprise SP3 |
○
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Windows XP Professional SP2+Office 2000 Personal SP3 |
○
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Windows XP Professional SP2+Office XP Standard SP3 |
○
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Windows Server 2003, Standard SP未適用+Office XP Pro with FrontPage
SP3 |
○
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Windows Server 2003, Standard SP1+Office 2000 Premium SP3 |
○
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Windows Server 2003, Enterprise SP1+Office XP Professional Enterprise
SP3 |
○
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■MBSA 2.0の結果
MS06-047のOffice XP/Project 2002/Visio 2002向け修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.0で確認可能である。未適用の場合は、「Officeのセキュリティの更新プログラム」の「結果の詳細情報」に以下のいずれかが表示される。Office
2000/Access 2000 Runtime/Project 2000は、MSBA 2.0でサポートされておらず、適用状態の確認はできない。
- Office XP セキュリティ更新プログラム: KB920821
- Project 2002 セキュリティ更新プログラム: KB920821
- Visio 2002 セキュリティ更新プログラム: KB920821
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適用時の注意点
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■Office 2000/Access 2000 Runtime/Project 2000向けはOffice Updateで提供
MS06-047のOffice 2000/Access 2000 Runtime/Project 2000向けの修正プログラムは、ダウンロード・センターとOffice
Updateで提供されている。Microsoft UpdateはOffice 2000などに対応していないため、MS06-047の修正プログラムは表示されないので注意が必要だ(自動更新やWSUSでも適用されない)。ダウンロード・センターで修正プログラムを入手して手動で適用を行うか、Office
Updateを実行する必要がある。
なおOffice XP向けの修正プログラムは、Microsoft Updateで提供されるため、ほかのセキュリティ修正プログラムとともに選択・適用が可能だ。
■複数の該当Office製品がインストールされている場合はそれぞれ適用が必要
MS06-047の修正プログラムは、「VBE6.DLL」を置き換えることで脆弱性を解消する。このモジュールは、すべてのOffice製品で共通となっているため、複数の該当Office製品がインストールされている場合でも、いずれかの製品向け修正プログラムを適用することで、事実上、脆弱性の解消は可能だ。例えば、Office
XPとAccess 2000 Runtimeが存在するような場合、Office XPもしくはAccess 2000 Runtime向けのいずれかの修正プログラムを適用すればよい。
しかし修正プログラムのインストーラは、製品ごとに修正プログラムの適用状態などをレジストリに記録するため、実際にはすべての製品向けの修正プログラムの適用が必要になる(Office
Updateでは適用が求められる)。
■Access 2000 Runtimeがインストールされている場合がある
Office製品をインストールしていなくても、業務アプリケーションなどにAccess 2000 Runtimeが含まれている場合がある。この場合、Access
2000 RuntimeにAccess 2000 Runtime SP3が適用されていないことで、MS06-047などSP3対応の修正プログラムがOffice
Updateで表示されないことがあるので注意が必要だ。この場合はOffice Updateを検索し、Office 2000 SR-1、Access 2000
Runtime SP3を順に適用した上で、MS06-047の修正プログラムを適用する必要がある。
■修正プログラムはアンインストールできない
MS06-047の修正プログラムは、Office 2000/XP向けのどちらもアンインストールができないので注意が必要だ。VBAを利用した業務アプリケーションを構築しているような場合は、事前に互換性を十分検証した上で適用した方がよい。
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プラットフォーム |
ダウンロード・センター |
Office Update/MU/WSUSの表示 |
Office 2000 SP3 |
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Office 2000 セキュリティ更新プログラム: KB920822 |
Access 2000 Runtime SP3 |
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Access 2000 Runtime セキュリティ更新プログラム: KB920822 |
Project 2000 SR1 |
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Project 2000 セキュリティ更新プログラム: KB920822 |
Office XP SP3
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Office XP セキュリティ更新プログラム: KB920821 |
Project 2002 SP1 |
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Project 2002 セキュリティ更新プログラム: KB920821 |
Visio 2002 SP2 |
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Visio 2002 セキュリティ更新プログラム: KB920821 |
VBA 6.0/6.2/6.3/6.4 |
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− |
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以下のファイルにパッチが適用される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
Office 2000 SP3:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
office2000-kb920822-fullfile-jpn.exe
|
2006/07/18 |
5.0.2919.6307 |
1,482,400
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\VBA\VBA6\ |
VBE6.DLL |
2006/07/05 |
6.4.99.72 |
2,489,096
|
Visual Basic Design Time Environment |
Access 2000 Runtime SP3:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
art2000-kb920822-fullfile-jpn.exe
|
2006/07/15 |
5.0.2919.6307 |
1,488,568
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\VBA\VBA6\ |
VBE6.DLL |
2006/07/05 |
6.4.99.72 |
2,489,096
|
Visual Basic Design Time Environment |
Project 2000 SR1:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Project2000-KB920822-FullFile-JPN.exe
|
2006/07/26 |
9.0.11344.0 |
1,419,096
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\VBA\VBA6\ |
VBE6.DLL |
2006/07/05 |
6.4.99.72 |
2,489,096
|
Visual Basic Design Time Environment |
Office XP SP3:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
officexp-KB920821-FullFile-JPN.exe
|
2006/07/11 |
10.0.6809.0 |
1,566,032
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\VBA\VBA6\ |
VBE6.DLL |
2006/07/05 |
6.4.99.72 |
2,489,096
|
Visual Basic Design Time Environment |
Project 2002 SP1:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Project2002-KB920821-FullFile-JPN.exe
|
2006/07/26 |
10.0.8362.0 |
1,432,920
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\VBA\VBA6\
|
VBE6.DLL |
2006/07/05 |
6.4.99.72 |
2,489,096
|
Visual Basic Design Time Environment |
Visio 2002 SP2:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Visio2002-KB920821-FullFile-JPN.EXE
|
2006/07/11 |
10.2.6840.0 |
1,437,520
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\VBA\VBA6\
|
VBE6.DLL |
2006/07/05 |
6.4.99.72 |
2,489,096
|
Visual Basic Design Time Environment |
VBA 6.0/6.2/6.3/6.4:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
VBA64-KB923167-X86-ENU.exe
|
2006/08/01 |
5.50.4134.600 |
1,323,584
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\VBA\VBA6\
|
VBE6.DLL |
2005/07/05 |
6.4.99.72 |
2,489,096
|
Visual Basic Design Time Environment |
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修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、VBE6.DLLのファイルのバージョンをプロパティで調べることで確認できる。
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予想適用時間
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修正プログラム名 |
50台 |
100台 |
250台 |
500台 |
office2000-kb920822-fullfile-jpn.exe
(Office 2000 SP3) |
13分 |
21分 |
47分 |
1時間29分 |
officexp-KB920821-FullFile-JPN.exe
(Office XP SP3) |
13分 |
21分 |
47分 |
1時間29分 |
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。
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UpdateEXPERT上の表示
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・Office 2000 SP3:
[展開ビュー]−[Office]タブに「名前:office2000-kb920822-fullfile-jpn.exe」で登録
・Office XP SP3:
[展開ビュー]−[Office]タブに「名前:officexp-KB920821-FullFile-JPN.exe」で登録
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