MS06-051/917422 |
Windows OSの例外処理の脆弱性により、リモートで任意のコードが実行される危険性 |
(Windows カーネルの脆弱性により、リモートでコードが実行される) |
対応の緊急性:至急適用 [攻撃コード公開済み][攻撃事例なし]
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危険性 |
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脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。 |
可能性のある攻撃
攻撃手法
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脆弱性の影響
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リモート攻撃 |
ウイルス/ワーム |
電子メール添付 |
Webサイトへの誘導 |
コードの実行 |
権限の昇格 |
情報の漏えい |
サービス拒否 |
なりすまし |
○
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○
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○
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○
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○
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メモリに存在するアプリケーションで例外処理が適切に行われない脆弱性により、リモートで任意のコードが実行される危険性がある。この脆弱性は、細工されたファイルやWebサイトを開くことで悪用される。スパイウェアやアドウェアのインストールなどに悪用される危険性が高い脆弱性である。
マイクロソフトによれば、MS06-051の脆弱性は非公開で報告されたとしており、攻撃例は確認されていないという。しかし、ひとたびこの脆弱性がウイルスやワームに悪用された場合、短期間で急速に被害が広がる懸念がある。至急、修正プログラムを適用した方がよい。
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脆弱性の内容
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MS06-051の修正プログラムは、以下の2件の脆弱性を解消する。
■処理されない例外の脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-3648)
この脆弱性は、メモリ上に存在するアプリケーションにおいて例外処理が適切に行われないことに起因する。当初、この脆弱性はPHP Event Calendar
version 1.4とそれ以前のバージョンに存在するものと報告されたが、Windows OS自体の脆弱性でもあるということだ。
・Bugtraq(PHP Event Calendar versi 1.4 (path_to_calendar) Remote File Inclusion):
http://www.securityfocus.com/archive/1/archive/1/440265/100/0/threaded
すでにPHP Event Calendarに対する実証コードは公開されており、WindowsにPHPがインストールされた環境では、攻撃の危険性が高まっている。
■ユーザー・プロファイルの特権の昇格の脆弱性(深刻度:重要 CVE:CVE-2006-3443)
Winlogonが不適切なパスの使用を許可する脆弱性が存在し、細工されたDLLがユーザー・ディレクトリに配置された場合に、WinlogonによってそのDLLのコードが実行される危険性がある。
Windows 2000は、デフォルトでSafeDllSearchModeというレジストリ値のデータが「0」になおり、その結果、DLLの読み込み時に不適切なパスの使用を優先してしまう。一方、Windows
XPとWindows Server 2003は、デフォルトで不適切なパスの使用が優先されない設定となている。SafeDllSearchModeのデータはOS内で「1」すなわち「不適切なパスの非優先」に設定されているため、たとえこのレジストリの値そのものがない場合も「非優先」となる。このレジストリの値が存在し、「1」以外のデータが設定されている場合、Windows
2000と同様、不適切なパスの使用が優先されるので注意が必要だ。
この脆弱性を悪用するには、細工したDLLをユーザー・ディレクトリに配置する必要がある。ただしこの脆弱性を悪用した場合、コンピュータの制御を完全に奪えることから、トロイの木馬などに利用されることが懸念される。
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対象プラットフォーム
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影響を受けるソフトウェア |
対象プラットフォーム |
Windows 2000 |
Windows 2000 SP4 |
Windows XP |
Windows XP SP1/SP1a/SP2 |
Windows Server 2003 |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2 |
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‥‥‥ DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント
‥‥‥
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■適用テストの結果
DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。
プラットフォーム
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適用テスト結果
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Windows 2000 Professional SP4 |
○
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Windows 2000 Server SP4 |
○
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Windows 2000 Advanced Server SP4 |
○
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Windows XP Professional SP1a |
○
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Windows XP Professional SP2 |
○
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Windows Server 2003, Standard Edition SP未適用 |
○
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Windows Server 2003, Enterprise Edition SP未適用 |
○
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Windows Server 2003, Standard Edition SP1 |
○
|
Windows Server 2003, Enterprise Edition SP1 |
○
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Windows Server 2003 R2, Standard Edition |
○
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Windows Server 2003 R2, Enterprise Edition |
○
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■MBSA 2.0の結果
MS06-051の修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.0で確認可能である。未適用の場合は、「Windowsのセキュリティの更新プログラム」の「結果の詳細情報」に以下のいずれかが表示される。
- Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB917422)
- Windows XP 用セキュリティ更新プログラム (KB917422)
- Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB917422)
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プラットフォーム |
ダウンロード・センター |
WU/MU/SUS/WSUSの表示 |
Windows 2000 SP4 |
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Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB917422) |
Windows XP SP1/SP1a/SP2 |
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Windows XP 用セキュリティ更新プログラム (KB917422) |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2 |
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Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB917422) |
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以下のファイルにパッチが適用される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
Windows 2000 SP4:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows2000-KB917422-x86-JPN.EXE |
2006/06/21 |
1.0.0.0 |
781,800
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ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%SystemRoot%\system32\ |
kernel32.dll |
2006/06/21 |
5.0.2195.7099 |
907,024
|
Windows NT BASE API Client DLL |
mpr.dll |
2006/06/21 |
5.0.2195.6824 |
54,544
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Multiple Provider Router DLL |
Windows XP SP1/SP1a/SP2:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsXP-KB917422-x86-JPN.exe |
2006/07/05 |
1.0.0.0 |
995,640
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(SP1QFE) |
%SystemRoot%\system32\ |
kernel32.dll |
2006/07/05 |
5.1.2600.1869 |
1,175,040
|
Windows NT BASE API Client DLL |
展開フォルダ
(SP2GDR)
|
%SystemRoot%\system32\ |
kernel32.dll |
2006/07/05 |
5.1.2600.2945 |
1,230,336
|
Windows NT BASE API Client DLL |
展開フォルダ
(SP2QFE)
|
%SystemRoot%\system32\ |
kernel32.dll |
2006/07/05 |
5.1.2600.2945 |
1,231,360
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Windows NT BASE API Client DLL |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsServer2003-KB917422-x86-JPN.exe |
2006/07/25 |
1.0.0.0 |
1,148,216
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(RTMGDR)
|
%SystemRoot%\system32\ |
kernel32.dll |
2006/07/25 |
5.2.3790.566 |
1,245,696
|
Windows NT BASE API Client DLL |
展開フォルダ
(RTMQFE)
|
%SystemRoot%\system32\ |
kernel32.dll |
2006/07/25 |
5.2.3790.566 |
1,246,208
|
Windows NT BASE API Client DLL |
termsrv.dll |
2006/07/25 |
5.2.3790.566 |
215,552
|
Terminal Server Service |
winsta.dll |
2006/07/25 |
5.2.3790.566 |
52,224
|
Winstation Library |
展開フォルダ
(SP1GDR/
SP1QFE)
|
%SystemRoot%\system32\ |
kernel32.dll |
2006/07/25 |
5.2.3790.2756 |
1,295,872
|
Windows NT BASE API Client DLL |
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修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、以下のレジストリ・キーにある値を調べることで確認できる。
・Windows 2000 SP4:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows 2000\SP5\KB917422\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows XP SP1/SP1a/SP2:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows XP\SP3\KB917422\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows Server 2003\SP2\KB917422\Filelist以下のファイル一覧を確認する
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予想適用時間
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修正プログラム名 |
50台 |
100台 |
250台 |
500台 |
Windows2000-KB917422-x86-JPN.EXE
(Windows 2000 SP4) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
WindowsXP-KB917422-x86-JPN.exe
(Windows XP SP1/SP1a/SP2) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間35分 |
WindowsServer2003-KB917422-x86-JPN.exe
(Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間35分 |
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。
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UpdateEXPERT上の表示
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・Windows 2000 SP4:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:Windows2000-KB917422-x86-JPN.EXE」で登録
・Windows XP SP1/SP1a/SP2:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:WindowsXP-KB917422-x86-JPN.exe」で登録
・Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:WindowsServer2003-KB917422-x86-JPN.exe」で登録
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