MS06-066/923980 |
NetWare用クライアント・サービスの未チェック・バッファの脆弱性により、リモートで任意のコードが実行される危険性 |
(NetWare 用クライアント サービスの脆弱性により、リモートでコードが実行される) |
対応の緊急性:早期適用 [攻撃コード未公開][攻撃事例なし]
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危険性 |
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脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。 |
可能性のある攻撃
攻撃手法
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脆弱性の影響
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リモート攻撃 |
ウイルス/ワーム |
電子メール添付 |
Webサイトへの誘導 |
コードの実行 |
権限の昇格 |
情報の漏えい |
サービス拒否 |
なりすまし |
○
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○
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|
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○
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○
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NetWare用クライアント・サービス(CSNW)に未チェック・バッファの脆弱性が存在する。細工されたネットワーク・メッセージを受信すると、この脆弱性が悪用され、サービス拒否が引き起こされたり、任意のコードが実行されたりする危険性がある。
CSNWは、NetWareのファイルや印刷、ディレクトリ・サービスを利用できるようにするサービスである。マイクロソフトとNovellの両社からCSNWが提供されているが、脆弱性が存在するのは、マイクロソフト製のもののみである。
マイクロソフトによれば、MS06-066の脆弱性は非公開で報告されたとしており、実証コードや攻撃例は確認されていないという。MS06-066の脆弱性が悪用されるのは、CSNWが有効になっている場合に限られる(デフィルトでは無効)。NetWareによるファイル/プリンタ共有を行っている場合には、CSNWが有効になっている可能性が高い。NetWareが広く普及しなかった日本では影響を受けるユーザーは限定的であると思われる。しかしインターネットからのリモートによる攻撃を受ける可能性があり、ウイルスやワームなどに悪用されることが懸念される脆弱性なだけに、CSNWを有効にしている環境では最大限の注意が必要だ。なおWindows
XP Home Edition SP2とWindows XP Media Center Edition 2005は、CSNWのコンポーネントが含まれていないため、脆弱性の影響を受けることはない。
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脆弱性の内容
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MS06-066の修正プログラムは、以下の2件の脆弱性を解消する。
- NetWare用のクライアント・サービスのメモリ破損の脆弱性(深刻度:重要 CVE:CVE-2006-4688)
- NetWareドライバのサービス拒否の脆弱性(深刻度:警告 CVE:CVE-2006-4689)
どちらもCSNWに未チェック・バッファの脆弱性が存在することに起因する。「NetWare用のクライアント・サービスのメモリ破損の脆弱性(CVE-2006-4688)」では、悪用されると任意のコードが実行される危険性がある。
CSNWは、影響を受けるWindows OSにおいてデフォルトで無効となっているため、最大深刻度が「2(重要)」となっているが、有効となっている環境では「1(緊急)」に相当する非常に危険性の高い脆弱性である。NetWare環境を利用している場合は十分に注意した方がよい。
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対象プラットフォーム
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影響を受けるソフトウェア |
対象プラットフォーム |
Windows 2000 |
Windows 2000 SP4 |
Windows XP |
Windows XP Professional SP2 |
Windows Server 2003 |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2 |
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‥‥‥ DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント
‥‥‥
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■適用テストの結果
DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。
プラットフォーム
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適用テスト結果
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Windows 2000 Professional SP4 |
○
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Windows 2000 Server SP4 |
○
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Windows 2000 Advanced Server SP4 |
○
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Windows XP Professional SP2 |
○
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Windows Server 2003, Standard Edition SP未適用 |
○
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Windows Server 2003, Enterprise Edition SP未適用 |
○
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Windows Server 2003, Standard Edition SP1 |
○
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Windows Server 2003, Enterprise Edition SP1 |
○
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Windows Server 2003 R2, Standard Edition |
○
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○は問題なし、△は一部に問題あり、×は適用による障害あり |
■MBSA 2.0の結果
MS06-066の修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.0で確認可能である。未適用の場合は、「Windowsのセキュリティの更新プログラム」の「結果の詳細情報」に以下のいずれかが表示される。
- Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB923980)
- Windows XP 用セキュリティ更新プログラム (KB923980)
- Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB923980)
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適用時の注意点
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■Windows XP SP1/SP1aに対する修正プログラムは提供されない
Windows XP SP1/SP1aは、2006年10月11日にサポート・ライフサイクルが終了したため、Windows XP SP1/SP1a向けのMS06-066の修正プログラムは提供されない。Windows
XP SP2を適用してから、MS06-066の修正プログラムを適用する必要がある。
■CSNWをインストールしていなくても修正プログラムを適用した方がよい
CSNWは、Windows 2000/XP/Server 2003のいずれにおいても標準では有効になっていない。そのため、CSNWを手動で有効にしない限り、MS06-066の脆弱性の影響は受けない。しかし脆弱性の原因となっているコンポーネントは、OSにデフォルトでインストールされているため、何らかの理由によって有効化された際に脆弱性の影響を受けないように、予防策として修正プログラムを適用しておいた方がよい。
実際、Microsoft UpdateはCSNWを無効にしたコンピュータであっても、MS06-066の修正プログラムを適用するように表示する。
■CSNWが有効になっているかどうか確認する方法
CSNWが有効に設定されているかどうかを確認するには、Windowsのネットワーク・アダプタのプロパティを開き、[全般]タブでリストアップされているクライアント/サービス/プロトコルの一覧を調べる。ここで「NetWare
用クライアント サービス」あるいは「NetWare 用ゲートウェイ (とクライアント) サービス」という項目が表示されてチェックが入っていれば、CSNWが有効になっている。
■Windows 2000とWindows Server 2003はMS05-046の修正プログラム適用も必要
MS06-066の修正プログラムは、Windows XP SP2向けのみMS05-046の修正が含まれている。Windows 2000とWindows Server
2003では、MS06-066とともに、MS05-046の修正プログラムを適用しないと、CSNWのすべての脆弱性が解消されないので注意した方がよい。
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プラットフォーム |
ダウンロード・センター |
WU/MU/WSUSの表示 |
Windows 2000 SP4 |
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Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB923980) |
Windows XP SP2 |
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Windows XP 用セキュリティ更新プログラム (KB923980) |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2 |
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Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB923980) |
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以下のファイルにパッチが適用される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
Windows 2000 SP4:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows2000-KB923980-x86-JPN.EXE |
2006/09/01 |
1.0.0.0 |
648,168
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%SystemRoot%\system32\ |
nwapi32.dll |
2006/09/01 |
5.0.2195.7109 |
64,784
|
NW Win32 API DLL |
nwprovau.dll |
2006/09/01 |
5.0.2195.7110 |
140,048
|
Client Service for NetWare Provider and Authentication Package
DLL |
|
%SystemRoot%\system32\drivers\ |
nwrdr.sys |
2006/09/01 |
5.0.2195.7110 |
161,520
|
NetWare Redirector File System Driver |
Windows XP SP2:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsXP-KB923980-x86-JPN.exe |
2006/10/13 |
1.0.0.0 |
683,320
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(SP2GDR) |
%SystemRoot%\system32\ |
nwapi32.dll |
2006/10/13 |
5.1.2600.3015 |
64,000
|
NW Win32 API DLL |
nwprovau.dll |
2006/10/13 |
5.1.2600.3015 |
137,216
|
Client Service for NetWare Provider and Authentication Package DLL |
nwwks.dll |
2006/10/13 |
5.1.2600.3015 |
65,536
|
Client Service for Netware |
|
%SystemRoot%\system32\drivers\ |
nwrdr.sys
|
2006/10/13 |
5.1.2600.3015 |
163,584
|
Service Pack 3 Messages |
展開フォルダ
(SP2QFE) |
%SystemRoot%\system32\ |
nwapi32.dll |
2006/10/13 |
5.1.2600.3015 |
64,000
|
NW Win32 API DLL |
nwprovau.dll |
2006/10/13 |
5.1.2600.3015 |
137,216
|
Client Service for NetWare Provider and Authentication Package DLL |
nwwks.dll |
2006/10/13 |
5.1.2600.3015 |
65,536
|
Client Service for Netware |
|
%SystemRoot%\system32\drivers\ |
nwrdr.sys
|
2006/10/13 |
5.1.2600.3015 |
163,456
|
Service Pack 3 Messages |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsServer2003-KB923980-x86-JPN.exe |
2006/09/04 |
1.0.0.0 |
606,520
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(RTMGDR/
RTMQFE ) |
%SystemRoot%\system32\drivers\ |
nwrdr.sys |
2006/09/01 |
5.2.3790.588 |
166,912
|
NetWare Redirector File System Driver |
展開フォルダ
(SP1GDR) |
%SystemRoot%\system32\drivers\ |
nwrdr.hp.sys* |
2006/09/04 |
5.2.3790.2783 |
7,168
|
NetWare Redirector File System Driver |
nwrdr.sys |
2006/09/04 |
5.2.3790.2783 |
183,296
|
NetWare Redirector File System Driver |
展開フォルダ
(SP1QFE ) |
%SystemRoot%\system32\drivers\ |
nwrdr.sys
|
2006/09/01 |
5.2.3790.2783 |
172,544
|
NetWare Redirector File System Driver |
*ホットパッチ用ファイル。これを利用すると再起動せずに適用を完了できる場合がある。詳細はマイクロソフトの「サポート技術情報:897341」を参照のこと。
・サポート技術情報 897341(ホットパッチを使用して Windows Server 2003 Service Pack
1 用のセキュリティ更新プログラムをインストールする方法):
http://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;ja;897341
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修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、以下のレジストリ・キーにある値を調べることで確認できる。
・Windows 2000 SP4:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows 2000\SP5\KB923980\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows XP SP2:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows XP\SP3\KB923980\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows Server 2003\SP2\KB923980\Filelist以下のファイル一覧を確認する
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予想適用時間
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修正プログラム名 |
50台 |
100台 |
250台 |
500台 |
Windows2000-KB923980-x86-JPN.EXE
(Windows 2000 SP4) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
WindowsXP-KB923980-x86-JPN.exe
(Windows XP SP2) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
WindowsServer2003-KB923980-x86-JPN.exe
(Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。
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UpdateEXPERT上の表示
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・Windows 2000 SP4:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:Windows2000-KB923980-x86-JPN.EXE」で登録
・Windows XP SP2:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:WindowsXP-KB923980-x86-JPN.exe」で登録
・Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2:
[展開ビュー]−[OS]タブに「WindowsServer2003-KB923980-x86-JPN.exe」で登録
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