MS07-021/930178 |
CSRSSのエラーメッセージ処理の脆弱性などにより、リモートで任意のコードが実行される危険性 |
(CSRSS の脆弱性により、リモートでコードが実行される) |
対応の緊急性:至急適用 [攻撃コード公開済み][攻撃事例なし]
|
危険性 |
|
脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。 |
可能性のある攻撃
攻撃手法
|
脆弱性の影響
|
リモート攻撃 |
ウイルス/ワーム |
電子メール添付 |
Webサイトへの誘導 |
コードの実行 |
特権の昇格 |
情報の漏えい |
サービス拒否 |
なりすまし |
|
○
|
|
○
|
○
|
○
|
|
○
|
|
|
|
|
|
Windows OSの重要なサブシステムであるWindows Client/Server Run-time Subsystem(CSRSS)に、エラーメッセージの処理が不適切な脆弱性など、3件の脆弱性が存在する。CSRSSは、コンソールのウィンドウやスレッドの作成と削除を担うサブシステムである。
この脆弱性が悪用されると、細工されたWebページを開くだけで、任意のコードが実行される危険性がある。アドウェアやトロイの木馬のインストールに悪用されることが懸念される。また特権の昇格が可能になる複数の脆弱性も含まれており、ウイルスなどがコンピュータに感染後、コンピュータの制御を完全に奪うために悪用する危険性もある。
MS07-021の脆弱性に対しては、すでに実証コードが公開されている。マイクロソフトによれば、現時点では、攻撃例は確認されていないということだが、危険性が高まっている。至急、修正プログラムを適用した方がよい。
|
脆弱性の内容
|
MS07-021の修正プログラムは、以下の3件の脆弱性を解消する。
■MsgBox(CSRSS)のリモートでコードが実行される脆弱性(深刻度:緊急 CVE:CVE-2006-6696)
2006/12/27日付けHotFix Weeklyで報告した「Windows OSのCSRSSにMS06-075とは異なる脆弱性」を解消する。
・HotFix Weekly 2006/12/27日付け(Windows OSのCSRSSにMS06-075とは異なる脆弱性):
http://www.hotfix.jp/archives/alert/2006/news06-1227.html#01
Windows APIのMessageBox()関数の呼び出しにおいて、MB_SERVICE_NOTIFICATIONフラグが指定されると、CSRSSに対してHardErrorメッセージが送られる。この際、MessageBox()関数の第2引数と第3引数の先頭が「\??\」の場合、
GetHardErrorText() 関数はバッファを解放した上に、解放したメモリのポインタを返してしまう。その結果、メッセージ・ボックスが閉じられた時点で、2重にメモリが解放されるダブルフリーの脆弱性が引き起こされる。すでにこの脆弱性を検証するための実証コードが公開されている。
・Computer Security Vulnerabilities(Microsoft Windows memory corruption):
http://securityvulns.com/Gnews944.html
情報が公開された時点では、「特権の昇格の脆弱性」とされていたが、TechNetセキュリティ情報によれば、細工したWebページを開くことで任意のコードが実行される危険性があるということだ。悪用された場合、非常に危険性の高い脆弱性である。
■CSRSSのローカルの特権の昇格の脆弱性(深刻度:重要 CVE:CVE-2007-1209)
この脆弱性は、CSRSSの不正確なシステム・リソースのマーシャリング(データ型やビット配列順などを変換する操作)に起因する。細工されたプログラムがローカルで実行されると、この脆弱性によって特権が昇格し、システム権限で実行可能となる危険性がある。
マイクロソフトによれば、この脆弱性は非公開で報告されたとしており、現在のところ実証コードや攻撃例は確認されていないという。またこの脆弱性は、Windows
Vistaだけが影響を受ける。
・eEye Digital Security(Windows Vista CSRSS Dangling Process Pointer Privilege
Escalation):
http://research.eeye.com/html/advisories/published/AD20070410b.html
■CSRSSのサービス拒否の脆弱性(深刻度:警告 CVE:CVE-2006-6797)
CSRSSが、エラー処理を行うNtRaiseHardError()関数の呼び出しに際して、引数を検証しないことに起因する脆弱性が存在する。細工されたアプリケーションによってcsrss.exeプロセスのメモリ・リソースへのアクセスが可能となり、その結果、サービス拒否を引き起こされ、自動的にコンピュータを再起動させられる危険性がある。
すでにこの脆弱性を検証するための実証コードが公開されている。
・Bugtraq(NtRaiseHardError Csrss.exe memory Disclosure exploit):
http://www.securityfocus.com/archive/1/archive/1/455365/100/0/
|
対象プラットフォーム
|
影響を受けるソフトウェア |
対象プラットフォーム |
Windows 2000 |
Windows 2000 SP4 |
Windows XP |
Windows XP SP2 |
Windows Server 2003 |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2/SP2 |
Windows Vista |
Windows Vista |
|
|
‥‥‥ DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント
‥‥‥
|
■適用テストの結果
DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。
プラットフォーム
|
適用テスト結果
|
Windows 2000 Professional SP4 |
○
|
Windows 2000 Server SP4 |
○
|
Windows 2000 Advanced Server SP4 |
○
|
Windows XP Professional SP2 |
○
|
Windows Server 2003, Standard Edition SP未適用 |
○
|
Windows Server 2003, Enterprise Edition SP未適用 |
○
|
Windows Server 2003, Standard Edition SP1 |
○
|
Windows Server 2003, Enterprise Edition SP1 |
○
|
Windows Server 2003 R2, Standard Edition |
○
|
Windows Server 2003 R2, Enterprise Edition |
○
|
Windows Server 2003 R2,, Standard Edition SP2 |
○
|
Windows Server 2003 Enterprise Edition SP2 |
○
|
Windows Vista Ultimate Edition |
○
|
○は問題なし、△は一部に問題あり、×は適用による障害あり |
■MBSA 2.0.1の結果
MS07-021の修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.0.1で確認可能である。未適用の場合は、「Windowsのセキュリティの更新プログラム」の「結果の詳細情報」に以下のいずれかが表示される。なお、Windows
Vistaはリモートでのみ確認が可能である(Windows VistaのUACを無効にして、リモート・レジストリ・サービスを開始しておく必要がある)。
- Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB930178)
- Windows XP 用セキュリティ更新プログラム (KB930178)
- Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB930178)
- Windows Vista 用セキュリティ更新プログラム (KB925902)
|
|
|
プラットフォーム |
ダウンロード・センター |
WU/MU/SUS/WSUSの表示 |
Windows 2000 SP4 |
|
Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB930178) |
Windows XP SP2 |
|
Windows XP 用セキュリティ更新プログラム (KB930178) |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2/SP2 |
|
Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB930178) |
Windows Vista |
|
Windows Vista 用セキュリティ更新プログラム (KB930178) |
|
|
|
以下のファイルにパッチが適用される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
Windows 2000 SP4:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows2000-KB930178-x86-JPN.EXE |
2007/03/13 |
1.0.0.0 |
625,008
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%SystemRoot%\system32\ |
winsrv.dll |
2007/03/13 |
5.0.2195.7135 |
260,880
|
Windows Server DLL |
Windows XP SP2:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsXP-KB930178-x86-JPN.exe |
2007/03/17 |
1.0.0.0 |
638,344
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(SP2GDR/
SP2QFE) |
%SystemRoot%\system32\ |
winsrv.dll |
2007/03/17 |
5.1.2600.3103 |
330,240
|
Windows Server DLL |
Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2/SP2:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsServer2003-KB930178-x86-JPN.exe |
2007/03/21 |
1.0.0.0 |
716,168
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(RTMGDR/
RTMQFE) |
%SystemRoot%\system32\ |
winsrv.dll |
2007/03/21 |
5.2.3790.658 |
336,384
|
Windows Server DLL |
展開フォルダ
(SP1GDR/
SP1QFE) |
%SystemRoot%\system32\ |
winsrv.dll |
2007/03/21 |
5.2.3790.2902 |
337,408
|
Windows Server DLL |
展開フォルダ
(SP2GDR/
SP2QFE) |
%SystemRoot%\system32\ |
winsrv.dll |
2007/03/21 |
5.2.3790.4043 |
338,944
|
Windows Server DLL |
Windows Vista:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows6.0-KB930178-x86.msu |
2007/02/27 |
− |
347,848
|
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%SystemRoot%\winsxs\x86_microsoft-windows-
csrsrv_31bf3856ad364e35_6.0.6000.16445_none_c77ab655a8530501 |
csrsrv.dll |
2007/02/24 |
6.0.6000.16445 |
49,664
|
Client Server Runtime Process |
|
%SystemRoot%\winsxs\x86_microsoft-windows-
csrsrv_31bf3856ad364e35_6.0.6000.20544_none_c80352d6c1718b74 |
csrsrv.dll |
2007/02/24 |
6.0.6000.20544 |
49,664
|
Client Server Runtime Process |
|
%SystemRoot%\winsxs\x86_microsoft-windows-
winsrv_31bf3856ad364e35_6.0.6000.16445_none_b47215f29f4a98e3 |
winsrv.dll |
2007/02/24 |
6.0.6000.16445 |
376,320
|
Multi-User Windows Server DLL |
|
%SystemRoot%\winsxs\x86_microsoft-windows-
winsrv_31bf3856ad364e35_6.0.6000.20544_none_b4fab273b8691f56 |
winsrv.dll |
2007/02/24 |
6.0.6000.20544 |
376,320
|
Multi-User Windows Server DLL |
|
|
|
修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、以下のレジストリ・キーにある値を調べることで確認できる。
・Windows 2000 SP4:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows 2000\SP5\KB930178\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows XP SP2:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows XP\SP3\KB930178\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2/SP2:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows Server 2003\SP3\KB930178\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows Vista:
置き換わるファイルで確認する
|
予想適用時間
|
修正プログラム名 |
50台 |
100台 |
250台 |
500台 |
Windows2000-KB930178-x86-JPN.EXE
(Windows 2000 SP4) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
WindowsXP-KB930178-x86-JPN.exe
(Windows XP SP2) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
WindowsServer2003-KB930178-x86-JPN.exe
(Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2/SP2) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。
|
UpdateEXPERT上の表示
|
・Windows 2000 SP4:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:Windows2000-KB930178-x86-JPN.EXE」で登録
・Windows XP SP2:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:WindowsXP-KB930178-x86-JPN.exe」で登録
・Windows Server 2003 SP未適用/SP1/R2/SP2:
[展開ビュー]−[OS]タブに「名前:WindowsServer2003-KB930178-x86-JPN.exe」で登録
・Windows Vista:
現在のところサポート対象外
|
|