MS07-064/941568 |
Direct ShowにおけるWAV/AVIファイルなどの解析過程の脆弱性により、リモートで任意のコードが実行される危険性 |
(DirectShow の脆弱性により、リモートでコードが実行される) |
対応の緊急性:至急適用 [攻撃コード未公開][攻撃事例なし]
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危険性 |
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脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。 |
可能性のある攻撃
攻撃手法 |
脆弱性の影響 |
リモート攻撃 |
ウイルス/ワーム |
電子メール添付 |
Webサイトへの誘導 |
コードの実行 |
権限の昇格 |
情報の漏えい |
サービス拒否 |
なりすまし |
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○ |
○ |
○ |
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DirectShowにおいて、WAVやAVIファイル、SAMI(Synchronized Accessible Media Interchange)ファイルのパラメータの解析過程に脆弱性が存在し、任意のコードが実行される危険性がある。細工されたWAV/AVIファイルを受信・再生すると、最悪の場合、コンピュータの制御が完全に奪われてしまう。
MS07-064の脆弱性はWindows Media Playerなどのメディア・プレイヤーを介して、細工されたWebページを開いたり、電子メールに添付された細工済みのAVIファイルなどを開いたりするだけで攻撃を受ける危険性がある。アドウェアやトロイの木馬のインストールに悪用されることが懸念される。
マイクロソフトによれば、MS07-064の脆弱性は非公開で報告されたとしており、実証コードや攻撃例は確認されていないという。ただし脆弱性の内容が公開されたことから、実証コードが開発され、攻撃に悪用されることが懸念される。ウイルス/ワームへ悪用されることが懸念されるので、至急、修正プログラムを適用した方がよい。
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脆弱性の内容
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DirectShowは、Windowsのマルチメディア用APIを提供するソフトウェア・パッケージのDirectXに含まれるAPIの一種で、音声や映像の再生などに利用される。Windows
Media Playerのほか、DVDプレイヤー、ビデオ編集アプリケーション、MP3プレイヤー、デジタル・ビデオ・キャプチャ・アプリケーションなどがDirectShowを利用している。
MS07-064の修正プログラムは、DirectShowに存在する以下の2件の脆弱性を解消する。
■DirectXにおけるWAV/AVIファイルの解析の脆弱性により、コードが実行される(最大深刻度:緊急 CVE:CVE-2007-3895)
DirectShowが、WAVやAVIファイルのパラメータを十分に検証しないことに起因する脆弱性が存在する。細工されたパラメータを持つWAV/AVIファイルを再生すると、ユーザーの操作なしに任意のコードが実行される危険性がある。
■DirectXにおけるSAMIファイルの解析の脆弱性により、コードが実行される(最大深刻度:緊急 CVE:CVE-2007-3901)
DirectShowが、SAMIファイルのパラメータを十分に検証しないことに起因する脆弱性が存在する。細工されたパラメータを持つSAMIファイルを再生すると、ユーザーの操作なしに任意のコードが実行される危険性がある。SAMIとは、映像や音声に同期する字幕を提供する技術である。
なおこの脆弱性は、Windows 2000のDirectX 7.0/8.1のみ影響がある。Windows 2000でもDirectX 9.0cを利用している場合は、脆弱性の影響を受けない。 |
対象プラットフォーム
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影響を受けるソフトウェア |
対象プラットフォーム |
DirectX 7.0 |
Windows 2000 SP4 |
DirectX 8.1* |
Windows 2000 SP4+DirectX 8.1 |
DirectX 9.0c* |
Windows 2000 SP4+DirectX 9.0c、Windows XP SP2、Windows Server 2003 SP1/R2/SP2 |
DirectX 10.0 |
Windows Vista |
*TechNetセキュリティ情報には明記されていないが、Windows
2000ではDirectX 8.0/8.0a/8.1b/8.2/9.0/9.0a/9.0bも影響を受けると思われる。 |
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‥‥‥
DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント ‥‥‥ |
■適用テストの結果
DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。
プラットフォーム |
適用テスト結果 |
Windows 2000 Professional SP4+DirectX 8.2 |
○ |
Windows 2000 Professional SP4+DirectX 9.0c |
○ |
Windows 2000 Server SP4+DirectX 8.0 |
○ |
Windows 2000 Server SP4+DirectX 8.1 |
○ |
Windows 2000 Advanced Server SP4 |
○ |
Windows XP Professional SP2 |
○ |
Windows Server 2003 Standard SP1 |
○ |
Windows Server 2003 Enterprise SP1 |
○ |
Windows Server 2003 R2 Enterprise |
○ |
Windows Server 2003 R2 Standard SP2 |
○ |
Windows Server 2003 Enterprise SP2 |
○ |
Windows Vista Ultimate |
○ |
○は問題なし、△は一部に問題あり、×は適用による障害あり |
■MBSA 2.0.1の結果
MS07-064の修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.0.1で確認可能だ。未適用の場合は、「Windowsのセキュリティの更新」の「結果の詳細情報」に、Windows
OSおよびDirectXのバージョンによって以下のいずれかが表示される。
- Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB941568)
- DirectX 8 for Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB941568)
- DirectX 9 for Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB941568)
- Windows XP 用セキュリティ更新プログラム (KB941568)
- Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB941568)
- Windows Vista 用セキュリティ更新プログラム (KB941568)
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適用時の注意点
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■Windows 2000向けはDirectXのバージョンで適用する修正プログラムが異なる
MS07-064のWindows 2000向け修正プログラムは、インストールされているDirectXのバージョンによって適用すべきものが異なる。Windows
2000のDirectXは、OSとは別にバージョン・アップ可能で、アプリケーションなどと一緒に添付のDirectXがインストールされることもある。そのため、OSのデフォルト状態とは異なるバージョンがインストールされている可能性がある。手動で適用する場合、その前に必ずDirectXのバージョンを確認すること。DirectXのバージョンは、[スタート]−[ファイル名を指定して実行]で、「DXDiag.exe」と入力後、[OK]をクリックし、DirectX
Diagnostic Toolを起動することで確認可能だ([システム]タブ−「システム情報」−「DirectX バージョン」にバージョン番号が表示される)。
OSのデフォルト状態は、Windows 2000 SP4がDirectX 7.0、Windows XP SP2がDirectX 9.0c、Windows
Server 2003 SP1/R2/SP2がDirectX 9.0c、Windows VistaがDirectX 10である。これらについては、それぞれOS向けとして提供されている修正プログラムを適用すればよい。
Windows 2000 SP4にDirectX 8.0/8.0a/8.1/8.1a/8.1b/8.2をインストールした場合は、DirectX 8.1用の修正プログラムを適用する必要がある。Windows
2000 SP4にDirectX 9.0/9.0a/9.0b/9.0cをインストールした場合は、DirectX 9.0用の修正プログラムを適用する。
■修正プログラム適用後に再起動が必要?
「TechNetセキュリティ情報:MS07-064」によれば、MS07-064の修正プログラムは、「インストーラによって必要なサービスが停止され、修正プログラムの適用後にサービスが再起動するため、OSの再起動は必要とされない」としている。しかしDA
Labで修正プログラムの適用を試したところ、MS07-064の修正プログラムは再起動しないとファイルが正しく置き換わらない場合があることを確認した。何らかの理由により、必要なサービスが停止されない場合や、必要なファイルが使用中の場合は、再起動が要求されるとしているので、この条件に合致している可能性がある。念のため、MS07-064の修正プログラムは適用後に再起動した方がよい。
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プラットフォーム |
ダウンロード・センター |
WU/MU/WSUSの表示 |
DirectX 7.0
(Windows 2000 SP4) |
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Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB941568) |
DirectX 8.1*
(Windows 2000 SP4) |
|
DirectX 8 for Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB941568) |
DirectX 9.0c*
(Windows 2000 SP4) |
|
DirectX 9 for Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB941568) |
DirectX 9.0c
(Windows XP SP2)
|
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Windows XP 用セキュリティ更新プログラム (KB941568) |
DirectX 9.0c
(Windows Server 2003 SP1/R2/SP2) |
|
Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB941568) |
DirectX 10.0
(Windows Vista) |
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Windows Vista 用セキュリティ更新プログラム (KB941568) |
*TechNetセキュリティ情報には明記されていないが、DirectX
8.0/8.0a/8.1b/8.2はDirectX 8.1用修正プログラムを、DirectX 9.0/9.0a/9.0bはDirectX 9.0c用修正プログラムをそれぞれ適用すればよい。 |
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以下のファイルにパッチが適用される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
DirectX 7.0(Windows 2000 SP4):
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows2000-KB941568-x86-JPN.EXE |
2007/10/29 |
1.0.0.0 |
813,936 |
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%SystemRoot%\system32\ |
quartz.dll |
2007/10/29 |
6.1.9.733 |
791,824 |
DirectShow Runtime. |
DirectX 8.1(Windows 2000 SP4):
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows2000-KB941568-DX8-x86-JPN.exe |
2007/10/29 |
1.0.0.0 |
1,002,560 |
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%SystemRoot%\system32\ |
quartz.dll |
2007/10/26 |
6.3.1.890 |
1,664,512 |
DirectShow Runtime. |
DirectX 9.0c(Windows 2000 SP4):
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows2000-KB941568-DX9-x86-JPN.exe |
2007/10/29 |
1.0.0.0 |
999,488 |
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%SystemRoot%\system32\ |
quartz.dll |
2007/10/27 |
6.5.1.908 |
1,210,368 |
DirectShow Runtime. |
DirectX 9.0c(Windows XP SP2):
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsXP-KB941568-x86-JPN.exe |
2007/10/30 |
1.0.0.0 |
1,021,992 |
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(SP2GDR/
SP2QFE) |
%SystemRoot%\system32\ |
quartz.dll |
2007/10/30 |
6.5.2600.3243 |
1,275,904 |
DirectShow Runtime. |
DirectX 9.0c(Windows Server 2003 SP1/R2/SP2):
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsServer2003-KB941568-x86-JPN.exe |
2007/10/30 |
1.0.0.0 |
1,143,856 |
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(SP1GDR/
SP1QFE) |
%SystemRoot%\system32\ |
quartz.dll |
2007/10/30 |
6.5.3790.3035 |
1,278,976 |
DirectShow Runtime. |
展開フォルダ
(SP2GDR/
SP2QFE ) |
%SystemRoot%\system32\ |
quartz.dll |
2007/10/30 |
6.5.3790.4178 |
1,263,104 |
DirectShow Runtime. |
DirectX 10.0(Windows Vista):
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows6.0-KB941568-x86.msu |
2007/10/28 |
− |
752,084 |
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ* |
\x86_microsoft-windows-directshow-core_31bf3856ad364e35_
6.0.6000.16587_none_a43a79faf0fa2e5d\ |
quartz.dll |
2007/10/27 |
6.6.6000.16587 |
1,327,104 |
DirectShow Runtime. |
|
\x86_microsoft-windows-directshow-core_31bf3856ad364e35_
6.0.6000.20710_none_a508c61a09e55656\ |
quartz.dll |
2007/10/27 |
6.6.6000.20710 |
1,327,104 |
DirectShow Runtime. |
*展開フォルダは、%SystemRoot%\winsxs\以下を示す。 |
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修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、以下のレジストリ・キーにある値を調べることで確認できる。
・DirectX 7.0(Windows 2000 SP4):
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows 2000\SP5\KB941568\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・DirectX 8.1(Windows 2000 SP4):
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\DirectX 8\SP0\KB941568_DX8\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・DirectX 9.0c(Windows 2000 SP4):
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\DirectX 9\SP0\KB941568_DX9\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・DirectX 9.0c(Windows XP SP2):
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows XP\SP3\KB941568\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・DirectX 9.0c(Windows Server 2003 SP1/R2/SP2):
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows Server 2003\SP3\KB941568\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・DirectX 10.0(Windows Vista):
置き換わるファイルのバージョンで確認する |
予想適用時間
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修正プログラム名 |
50台 |
100台 |
250台 |
500台 |
Windows2000-KB941568-x86-JPN.EXE
(Windows 2000 SP4+DirectX 7.0) |
12分 |
21分 |
46分 |
1時間28分 |
Windows2000-KB941568-DX8-x86-JPN.exe
(Windows 2000 SP4+DirectX 8.1) |
12分 |
21分 |
46分 |
1時間29分 |
Windows2000-KB941568-DX9-x86-JPN.exe
(Windows 2000 SP4+DirectX 9.0c) |
12分 |
21分 |
46分 |
1時間29分 |
WindowsXP-KB941568-x86-JPN.exe
(Windows XP SP2+DirectX 9.0c) |
12分 |
21分 |
46分 |
1時間29分 |
WindowsServer2003-KB941568-x86-JPN.exe
(Windows Server 2003 SP1/R2/SP2+DirectX 9.0c) |
12分 |
21分 |
46分 |
1時間29分 |
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。 |
UpdateEXPERT上の表示
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・DirectX 7.0(Windows 2000 SP4):
[展開ビュー]−[Media]タブに「名前:Windows2000-KB941568-x86-JPN.EXE」で登録
・DirectX 8.1(Windows 2000 SP4):
[展開ビュー]−[Media]タブに「名前:Windows2000-KB941568-DX8-x86-JPN.exe」で登録
・DirectX 9.0c(Windows 2000 SP4):
[展開ビュー]−[Media]タブに「名前:Windows2000-KB941568-DX9-x86-JPN.exe」で登録
・DirectX 9.0c(Windows XP SP2):
[展開ビュー]−[Media]タブに「名前:WindowsXP-KB941568-x86-JPN.exe」で登録
・DirectX 9.0c(Windows Server 2003 SP1/R2/SP2):
[展開ビュー]−[Media]タブに「名前:WindowsServer2003-KB941568-x86-JPN.exe」で登録
・DirectX 10.0(Windows Vista):
現在のところサポート対象外 |
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