MS08-008/947890 |
OLEオートメーションのヒープ・オーバーフローの脆弱性により、リモートで任意のコードが実行される危険性 |
(OLE オートメーションの脆弱性により、リモートでコードが実行される) |
対応の緊急性:至急適用 [攻撃コード未公開][攻撃事例なし]
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危険性 |
|
脆弱性による危険性を示す。「緊急適用」の場合、すでに攻撃コードが公開されているなど、脆弱性を悪用した攻撃が開始される可能性がある。「SP待ち」の場合、現時点では危険性がそれほど高くないため、サービスパックに反映されるまで待つことが可能であることを示す。 |
可能性のある攻撃
攻撃手法 |
脆弱性の影響 |
リモート攻撃 |
ウイルス/ワーム |
電子メール添付 |
Webサイトへの誘導 |
コードの実行 |
特権の昇格 |
情報の漏えい |
サービス拒否 |
なりすまし |
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○ |
○ |
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OLE(Object linking and embedding)オートメーションの処理過程にヒープ・オーバーフローの脆弱性が存在し、細工されたスクリプト・リクエストを受け取ると、任意のコードが実行される危険性がある。攻撃は、細工されたWebページを開くように誘導することで実行される可能性が高い。Webページを開くと、ほかのユーザーの操作なしに任意のコードが実行される危険性がある。アドウェアやトロイの木馬のインストールに悪用されることが懸念される。
マイクロソフトによれば、MS08-008の脆弱性は非公開で報告されたとしており、現時点では実証コードや攻撃例は確認されていないという。ただし脆弱性の内容が公開されたことから、実証コードが開発され、攻撃に悪用されることが懸念される。至急、修正プログラムを適用した方がよい。 |
脆弱性の内容
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OLEオートメーションとは、Windowsの標準プロトコルの1つで、アプリケーションがデータを共有したり、別のアプリケーションを制御したりすることを可能にするものである。
そのOLEオートメーションが、JavaScriptやVBScriptによるリクエストを処理する過程に脆弱性が存在する。細工されたJavaScriptやVBScriptによるリクエストを受け取ると、ヒープ・オーバーフローが起こり、任意のコードが実行されてしまう。細工されたWebページを開くだけで、攻撃が実行されてしまう危険性があるので注意が必要だ。
Visual Basic 6.0で開発されたアプリケーションでは、脆弱性の原因となっているoleaut32.dllが含まれている場合がある。Visual
Basic 6.0でアプリケーションを開発している場合は、そのアプリケーションにoleaut32.dllが含まれているかどうかを確認した方がよい。含まれている場合は、脆弱性を解消したMS08-008の修正プログラムに含まれるoleaut32.dllに置き換える必要がある。 |
対象プラットフォーム
|
影響を受けるソフトウェア |
対象プラットフォーム |
Windows 2000 |
Windows 2000 SP4 |
Windows XP |
Windows XP SP2 |
Windows Server 2003 |
Windows Server 2003 SP1/R2/SP2 |
Windows Vista |
Windows Vista |
Visual Basic 6.0 |
Visual Basic 6.0 SP6 |
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‥‥‥
DA Lab:HotFixテスティング・チームからのコメント ‥‥‥ |
■適用テストの結果
DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。
プラットフォーム |
適用テスト結果 |
Windows 2000 Professional SP4 |
○ |
Windows 2000 Server SP4 |
○ |
Windows 2000 Advanced Server SP4 |
○ |
Windows XP Professional SP2 |
○ |
Windows Server 2003, Standard Edition SP1 |
○ |
Windows Server 2003, Enterprise Edition SP1 |
○ |
Windows Server 2003 R2, Enterprise Edition |
○ |
Windows Server 2003 R2, Standard Edition SP2 |
○ |
Windows Server 2003, Enterprise Edition SP2 |
○ |
Windows Vista Ultimate |
○ |
Windows XP Professional SP2+Visual Basic 6.0 Enterprise SP6 |
○ |
○は問題なし、△は一部に問題あり、×は適用による障害あり |
■MBSA 2.0.1の結果
Visual Basic 6.0 SP6を除き、MS08-008の修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.0.1で確認可能である。未適用の場合は、「Windowsのセキュリティの更新プログラム」の「結果の詳細情報」に以下のいずれかが表示される。なおVisual
Basic 6.0 SP6は、MBSA 2.0.1のサポート対象外のため確認できない。
- Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB943055)
- Windows XP 用セキュリティ更新プログラム (KB943055)
- Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB943055)
- Windows Vista 用セキュリティ更新プログラム (KB943055)
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適用時の注意点
|
■Visual Basic 6.0 SP6では再配布用oleaut32.dllがOS依存に変更
Visual Basic 6.0 SP6向けのMS08-008の修正プログラムを適用すると、再配布可能なoleaut32.dllが置かれるフォルダが変更される。これまで再配布可能なoleaut32.dllは、以下のフォルダにすべてのOSに対応したバージョンが保存されていた。
<Visual Basic 6.0のインストール・フォルダ>\Wizards\PDWizard\Redist |
しかしMS08-008の修正プログラムを適用すると、MS07-043と同様、古いoleaut32.dllが削除された後、上記のフォルダ以下にOSごとのサブ・フォルダが新たに作成され、各OSに対応したoleaut32.dllが各サブ・フォルダに保存される。ソフトウェア・ベンダは、oleaut32.dllを含むソフトウェア・パッケージを作成する場合、インストールの際にOSを確認した上で、そのOSに対応したoleaut32.dllをインストールするように仕様を変更する必要もある。
対象OS |
作成されるフォルダ名 |
Windows NT 4.0 |
NT4 |
Windows NT 4.0, Terminal Server |
NT4TS |
Windows 2000 |
Win2000 |
Windows XP SP1 |
WinXPSP1 |
Windows XP SP2 |
WinXPSP2 |
Windows Server 2003 |
WinServer2003 |
Windows Server 2003 SP1 |
WinServer2003SP1 |
Windows Server 2003 SP2 |
WinServer2003SP2 |
Windows Vista |
Vista |
■古いoleaut32.dllを含むVisual Basic 6.0アプリケーションをインストールすると脆弱性が復活する可能性
oleaut32.dllは、OSに標準で含まれているほか、Visual Basic 6.0に添付されている再配布版がアプリケーションとともにインストールされることもある。そのため、古いoleaut32.dllを含むVisual
Basic 6.0アプリケーションをインストールすると、oleaut32.dllが上書きされてしまい、脆弱性が復活する可能性がある。古いVisual Basic
6.0アプリケーションをインストールした際は、oleaut32.dllのバージョンを確認した方がよい。
■Visual Basic 6.0向けのMS08-008の修正プログラムは手動適用
Visual Basic 6.0向けのMS08-008の修正プログラムはWindows Update/Microsoft Update/自動更新には対応していない。ダウンロード・センターからインストール・パッケージをダウンロードし、手動で適用する必要がある。 |
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プラットフォーム |
ダウンロード・センター |
WU/MU/WSUSの表示 |
Windows 2000 SP4 |
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Windows 2000 用セキュリティ更新プログラム (KB943055) |
Windows XP SP2 |
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Windows XP 用セキュリティ更新プログラム (KB943055) |
Windows Server 2003 SP1/R2/SP2 |
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Windows Server 2003 用セキュリティ更新プログラム (KB943055) |
Windows Vista |
|
Windows Vista 用セキュリティ更新プログラム (KB943055) |
Visual Basic 6.0 SP6 |
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- |
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以下のファイルにパッチが適用される。障害の発生が懸念される場合は、これらのファイルのバックアップを取っておくとよい。
Windows 2000 SP4:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows2000-KB943055-x86-JPN.EXE |
2007/12/05 |
1.0.0.0 |
764,272 |
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%SystemRoot%\system32\ |
oleaut32.dll |
2007/12/05 |
2.40.4532.0 |
631,056 |
- |
Windows XP SP2:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsXP-KB943055-x86-JPN.exe |
2007/12/05 |
1.0.0.0 |
745,000 |
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(SP2GDR) |
%SystemRoot%\system32\ |
oleaut32.dll |
2007/12/05 |
5.1.2600.3266 |
550,912 |
- |
展開フォルダ
(SP2QFE) |
%SystemRoot%\system32\ |
oleaut32.dll |
2007/12/05 |
5.1.2600.3266 |
551,936 |
- |
Windows Server 2003 SP1/R2/SP2:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
WindowsServer2003-KB943055-x86-JPN.exe |
2007/12/14 |
1.0.0.0 |
841,776 |
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ
(SP1GDR) |
%SystemRoot%\system32\ |
oleaut32.dll |
2007/12/13 |
5.2.3790.3057 |
557,568 |
- |
展開フォルダ
(SP1QFE) |
%SystemRoot%\system32\ |
oleaut32.dll |
2007/12/13 |
5.2.3790.3057 |
558,080 |
- |
展開フォルダ
(SP2GDR) |
%SystemRoot%\system32\ |
oleaut32.dll |
2007/12/13 |
5.2.3790.4202 |
553,984 |
- |
展開フォルダ
(SP2QFE) |
%SystemRoot%\system32\ |
oleaut32.dll |
2007/12/13 |
5.2.3790.4202 |
554,496 |
- |
Windows Vista:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
Windows6.0-KB943055-x86.msu |
2007/12/05 |
- |
452,246 |
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ* |
\x86_microsoft-windows-ole-automation_31bf3856ad364e35_
6.0.6000.16607_none_bb20ededfe4d5398\ |
oleaut32.dll |
2007/12/04 |
6.0.6000.16607 |
558,080 |
- |
|
\x86_microsoft-windows-ole-automation_31bf3856ad364e35_
6.0.6000.20732_none_bb8519831787c882\ |
oleaut32.dll |
2007/12/04 |
6.0.6000.20732 |
559,104 |
- |
*展開フォルダは、%SystemRoot%\winsxs\以下を示す。
Visual Basic 6.0 SP6:
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
VB6-KB946235-x86-JPN.exe |
2008/01/17 |
5.50.4134.600 |
1,499,032 |
ファイル名 |
日付 |
バージョン |
サイズ |
機能 |
展開フォルダ |
%ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\VB98\
Wizards\PDWizard\Redist\NT4\ (デフォルトの設定) |
oant4.dll* |
2007/12/21 |
2.40.4520.0 |
939,144 |
- |
|
%ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\VB98\
Wizards\PDWizard\Redist\NT4TS\ (デフォルトの設定) |
oant4ts.dll* |
2007/12/21 |
2.40.4520.0 |
939,144 |
- |
|
%ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\VB98\
Wizards\PDWizard\Redist\Win2000\ (デフォルトの設定) |
oa2k.dll* |
2007/12/21 |
2.40.4532.0 |
640,408 |
- |
|
%ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\VB98\
Wizards\PDWizard\Redist\WinXPSP1\ (デフォルトの設定) |
oaxpsp1.dll* |
2007/12/21 |
3.50.5022.0 |
586,888 |
- |
|
%ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\VB98\
Wizards\PDWizard\Redist\WinXPSP2\ (デフォルトの設定) |
oaxpsp2.dll* |
2007/12/21 |
5.1.2600.3266 |
561,288 |
- |
|
%ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\VB98\
Wizards\PDWizard\Redist\WinServer2003\ (デフォルトの設定) |
oas03rtm.dll* |
2007/12/21 |
5.2.3790.727 |
508,552 |
- |
|
%ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\VB98\
Wizards\PDWizard\Redist\WinServer2003SP1\ (デフォルトの設定) |
oas03sp1.dll* |
2007/12/21 |
5.2.3790.3057 |
567,432 |
- |
|
%ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\VB98\
Wizards\PDWizard\Redist\WinServer2003SP2\ (デフォルトの設定) |
oas03sp2.dll* |
2007/12/21 |
5.2.3790.4202 |
563,848 |
- |
|
%ProgramFiles%\Microsoft Visual Studio\VB98\
Wizards\PDWizard\Redist\Vista\ (デフォルトの設定) |
oavisrtm.dll* |
2007/12/21 |
6.0.6000.20732 |
568,456 |
- |
*oleaut32.dllにファイル名が変更されてコピーされる。 |
|
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修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、以下のレジストリ・キーにある値を調べることで確認できる。
・Windows 2000 SP4:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows 2000\SP5\KB943055\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows XP SP2:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows XP\SP3\KB943055\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows Server 2003 SP1/R2/SP2:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows Server 2003\SP3\KB943055\Filelist以下のファイル一覧を確認する
・Windows Vista:
置き換わるファイルのバージョンで確認する
・Visual Basic 6.0 SP6:
置き換わるファイルのバージョンで確認する |
予想適用時間
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修正プログラム名 |
50台 |
100台 |
250台 |
500台 |
Windows2000-KB943055-x86-JPN.EXE
(Windows 2000 SP4) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
WindowsXP-KB943055-x86-JPN.exe
(Windows XP SP2) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
WindowsServer2003-KB943055-x86-JPN.exe
(Windows Server 2003 SP1/R2/SP2) |
18分 |
27分 |
52分 |
1時間34分 |
1コンソールのUpdateEXPERT 6.1で、今回の修正プログラムを適用するのにかかる時間を概算したもの。ネットワーク環境や適用するコンピュータの性能などによって適用時間は異なる。あくまでも目安として利用してほしい。 |
UpdateEXPERT上の表示
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・Windows 2000 SP4:
[展開ビュー]-[OS]タブに「名前:Windows2000-KB943055-x86-JPN.EXE」で登録
・Windows XP SP2:
[展開ビュー]-[OS]タブに「名前:WindowsXP-KB943055-x86-JPN.exe」で登録
・Windows Server 2003 SP1/R2/SP2:
[展開ビュー]-[OS]タブに「名前:WindowsServer2003-KB943055-x86-JPN.exe」で登録
・Windows Vista:
現在のところサポート対象外
・Visual Basic 6.0 SP6:
UpdateEXPERTのサポート対象外 |
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