Internet Explorer（IE）にメモリ破損の脆弱性などが存在する。細工されたWebページを開くだけで脆弱性が悪用され、任意のコードが実行されたり、情報が漏えいしたりする危険性がある。アドウェアやトロイの木馬のインストールに悪用されることが懸念される。

　MS08-031の修正プログラムは、以下の2件の脆弱性を解消する。

　IEがHTMLオブジェクトの呼び出しを処理する方法にメモリ破損の脆弱性が存在する。HTMLオブジェクトに対する特定の予期しないメソッドの呼び出しが含まれる細工済みのWebページを表示すると、メモリ破損を起こし、その結果、任意のコードが実行されてしまう。

　現時点では、実証コードや攻撃事例は報告されていない。

　IEが特定の要求ヘッダを処理する方法に情報漏えいの脆弱性が存在する。細工された要求ヘッダを正しく解析しないことから、Same Origin Policy（同一生成元ポリシー：スクリプトが呼び出したページと同一のドメインにしかアクセスできないというポリシー）が侵害され、その結果、別のドメインからデータが読み取られてしまう。

　すでにこの脆弱性の存在が一般に公開されていたが、現時点では実証コードや攻撃事例は報告されていない。

■適用テストの結果
　DA Labでは、以下のプラットフォームで修正プログラムの適用テストを行った。

■MBSA 2.1の結果
　MS08-031の修正プログラムが正しく適用されているかどうかは、MBSA 2.1で確認可能だ。未適用の場合は、「Windowsのセキュリティの更新」の「結果の詳細情報」に、IEのバージョンによって以下のいずれかが表示される。

• Internet Explorer 5.01 Service Pack 4 用の累積的なセキュリティ更新プログラム (KB950759)
• Internet Explorer 6 Service Pack 1 用の累積的なセキュリティ更新プログラム (KB950759)
• Windows XP 用 Internet Explorer 6 の累積的なセキュリティ更新プログラム (KB950759)
• Windows XP 用 Internet Explorer 7 の累積的なセキュリティ更新プログラム (KB950759)
• Windows Server 2003 用 Internet Explorer 6 の累積的なセキュリティ更新プログラム (KB950759)
• Windows Server 2003 用 Internet Explorer 7 の累積的なセキュリティ更新プログラム (KB950759)
• Windows Vista 用 Internet Explorer 7 の累積的なセキュリティ更新プログラム (KB950759)
• Windows Server 2008 用 Internet Explorer 7 の累積的なセキュリティ更新プログラム (KB950759)

■Windows Vista SP未適用／SP1向けとWindows Server 2008向けの修正プログラムは同じもの
　MS08-031のWindows Vista SP未適用／SP1向けとWindows Server 2008向けの修正プログラムは、ダウンロード・センターなどでは別のものとして扱われているが、修正プログラム自体はまったく同じものである。DA Labでは、Windows Server 2008向けの修正プログラムをWindows Vista Businessに適用できることを確認している。

■MS08-031の修正プログラムには複数の不具合修正が含まれる
　MS08-031の修正プログラムには、以下の不具合修正が含まれている。MS08-031の修正プログラムを適用することで、これらの不具合が解消する可能性がある。

　修正プログラムが正しく適用できたかどうかは、以下のレジストリ・キーにある値を調べることで確認できる。

・Windows 2000 SP4＋IE 5.01 SP4：
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Internet Explorer 5.01\SP4\KB950759-IE501SP4-20080418.120000\Filelist以下のファイル一覧を確認する

・Windows 2000 SP4＋IE 6 SP1：
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Internet Explorer 6\SP1\KB950759-IE6SP1-20080418.120000\Filelist以下のファイル一覧を確認する

・Windows XP SP2／SP3＋IE 6：
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows XP\SP4\KB950759\Filelist以下のファイル一覧を確認する

・Windows XP SP2／SP3＋IE 7：
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows XP\SP0\KB950759-IE7\Filelist以下のファイル一覧を確認する

・Windows Server 2003 SP1／SP2＋IE 6：
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows Server 2003\SP3\KB950759\Filelist以下のファイル一覧を確認する

・Windows Server 2003 SP1／SP2＋IE 7：
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows Server 2003\SP0\KB950759-IE7\Filelist以下のファイル一覧を確認する

・Windows Vista SP未適用／SP1＋IE 7：
置き換わるファイルのバージョンで確認する

・Windows Server 2008＋IE 7：
置き換わるファイルのバージョンで確認する

・Windows 2000 SP4＋IE 5.01 SP4：
［展開ビュー］−［IE］タブに「名前：IE5.01sp4-KB950759-Windows2000sp4-x86-JPN.exe」で登録予定

・Windows 2000 SP4＋IE 6 SP1：
［展開ビュー］−［IE］タブに「名前：IE6.0sp1-KB950759-Windows2000-x86-JPN.exe」で登録予定

・Windows XP SP2／SP3＋IE 6：
［展開ビュー］−［IE］タブに「名前：WindowsXP-KB950759-x86-JPN.exe」で登録予定

・Windows XP SP2／SP3＋IE 7：
［展開ビュー］−［IE］タブに「名前：IE7-WindowsXP-KB950759-x86-JPN.exe」で登録予定

・Windows Server 2003 SP1／SP2＋IE 6：
［展開ビュー］−［IE］タブに「名前：WindowsServer2003-KB950759-x86-JPN.exe」で登録予定

・Windows Server 2003 SP1／SP2＋IE 7：
［展開ビュー］−［IE］タブに「名前：IE7-WindowsServer2003-KB950759-x86-JPN.exe」で登録予定

・Windows Vista SP未適用／SP1＋IE 7：
サポート対象外

・Windows Server 2008＋IE 7：
サポート対象外